東工大表現論セミナー
Tokyo Tech Representation Theory Seminar


概要

東京工業大学に於いて行われる表現論セミナーです.東京工業大学の方に限らず多くの方のご参加をお待ちしております.講演の自薦,他薦がございましたら,以下の世話人までご連絡いただければ幸いです.


セミナー予定

第12回
日時: 2023年12月20日(水) 16:00~18:00
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 和田 堅太郎 氏 (信州大学)
タイトル: シフト量子アフィン代数と有木-小池代数に関する Schur-Weyl 双対
概要: 古典的な $q$-Schur 代数は, 代数群の表現論を動機として, Dipper-James によって導入されたものであるが, その一方で, 神保による, 一般線形リー代数に付随した量子群と対称群に付随した岩堀-Hecke 代数の間の量子 Schur-Weyl 双対の中に自然に現れ, 特に $q$-Schur 代数は量子群の商代数となっていて, その表現論は量子群の表現論の一部とみなせることはよく知られている。
$G(r,1,n)$ 型の複素鏡映群に付随した巡回 $q$-Schur 代数は, 古典的な $q$-Schur 代数の一般化として, Dipper-James-Mathas によって導入されたものであり, 特に, 有木-小池代数の quasi-hereditary 被覆としての性質を持つ。これまでに展開されている巡回 $q$-Schur 代数の主に組み合わせ論を用いた表現論や, アフィンリー代数や有理 Cherednik 代数の表現論との関係により, その背後に量子群の存在があることが期待されていた。この講演では, シフト量子アフィン代数と有木-小池代数の間に Schur-Weyl 双対を構成し, その中に, 巡回 $q$-Schur 代数が自然に現れることを説明したい。

過去のセミナー

第11回
日時: 2023年11月22日(水) 16:00~17:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 井上 玲 氏 (千葉大学)
タイトル: クラスター変異と三次元可積分性
概要:
概要を見る 三次元格子模型の可積分性を記述する四面体方程式と三次元反射方程式の解を、クラスター代数を用いて構成する方法を紹介する。 四面体方程式に対して[Sun and Yagi: arXiv:2211.10702]で導入された量子Y変数を用いる方法を発展させ、量子Y変数の成す代数をqワイル代数へ埋め込むことによって Yang-Baxter変換のR作用、反射変換のK作用の両方を随伴作用として表すことに成功した。 これらから四面体方程式と三次元反射方程式の解が得られる。 この講演は国場敦夫氏、寺嶋郁二氏との共同研究に基づく。
第10回
日時: 2023年11月17日(金) 16:00~17:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 山内 博 氏 (東京女子大学)
タイトル: $c=24$ 正則頂点代数の圏論的構成
概要:
概要を見る 頂点代数の構成法のうち,所与の頂点代数から出発して,その拡大を構成する手法があり,与えられた頂点代数がよい性質を満たすならば,その性質に応じてよい構成法が知られている。 この講演では頂点代数の表現圏におけるテンソル圏の構造を利用した拡大の構成について,中心電荷が24の場合の例を中心に解説する。
第9回
日時: 2023年9月8日(金) 16:00~18:00
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H201セミナー室 (ハイブリッド開催)
講演者: 高松 哲平 氏 (京都大学/白眉センター)
タイトル: GSp における semi-infinite Deligne-Lusztig 多様体と affine Deligne-Lusztig 多様体の比較について
概要:
概要を見る Deligne-Lusztig 理論とは、有限簡約群の表現を、Deligne-Lusztig 多様体 (DLV) という 代数多様体の l 進コホモロジーに実現する理論である。 Lusztig は、同様の構成が p 進体上でも有用であると予想した。 Deligne-Lusztig 多様体の p 進体上の類実物として、 semi-infinite DLV と affine DLV の二つが考えられる。 Chan-Ivanov は GL に対するこれらの類似物の ($\sigma$-) 線形代数的な記述を与え、 semi-infinite DLV が affine DLV のある種の逆極限であることを示し、 更に、affine DLV の詳細な構造の研究を行った。 本講演では、彼らの結果の GSp の場合の類似を説明する。

※本セミナーは東工大数論・幾何学セミナーとの共催で行われます.
第8回
日時: 2023年7月14日(金) 13:30~15:00
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 金久保 有輝 氏 (筑波大学)
タイトル: An algorithm for Berenstein-Kazhdan decoration functions on classical groups
概要:
概要を見る $G$を単連結で連結な単純代数群とし、$\mathfrak{g}$をそのリー環とする。 ワイル群$W$の最長元$w_0$の最短表示$\mathbf{i}$を一つ固定すると、結晶の埋め込み $\Psi_{\mathbf{i}} : B(\infty)\hookrightarrow \mathbb{Z}^{l(w_0)}$が定義される。 この埋め込みの像${\rm Im}(\Psi_{\mathbf{i}})(\cong B(\infty))$は、 結晶基底の多面体実現と呼ばれ、 更に、ストリング錐と呼ばれる有理多角錐の整数点の集合と一致することが知られている。 この錐の具体形を求める、というのは、多面体実現やストリング錐の理論において、最も基本的な問題の一つである。 Berenstein-Kazhdan half decorationと呼ばれる$G$上の正則関数$\Phi^h_{BK}$ の明示式を明らかにすることで、この錐の具体形を求められることが知られている。
本講演では、$\mathfrak{g}$が古典型リー環の場合、この関数$\Phi^h_{BK}$の明示式を計算するアルゴリズムを与える。 その証明に用いられた、リー環の表現論についても紹介する。 なお、本講演の内容は、Gleb Koshevoy氏, 中島俊樹氏との共同研究の結果である。
第7回
日時: 2023年6月30日(金) 16:00~17:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館3階H352セミナー室
講演者: 直井 克之 氏 (東京農工大学)
タイトル: Strong duality data of type A and extended $T$-systems
概要:
概要を見る $T$-systemはKirillov-Reshetikhin加群が満たす, 量子アフィン代数の有限次元加群圏のGrothendieck環における関係式である. MukhinとYoungはA・B型の場合に, この$T$-systemの一般化となるある種の関係式 (extended $T$-system) を示した.
本講演では, A型のstrong duality datumから構成されるより広い単純加群たちに対し, extended $T$-systemと同様の関係式が証明できる, という結果について紹介する.
第6回
日時: 2023年5月26日(金) 16:00~17:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H201セミナー室
講演者: 森脇 湧登 氏 (理化学研究所)
タイトル: 二次元非カイラル共形場理論と量子座標環
概要:
概要を見る 量子力学における"量子化"とは、古典的観測量のなす可換代数の"非可換化"である。 量子力学は場の量子論と呼ばれる物理理論の1次元の場合であり、2次元の場の量子論を考えることでより高次の非可換性が現れる。 本講演ではこうした視点から二次元の非カイラル共形場理論の定義やそこに生ずる2圏的構造、量子座標環を用いた具体例の構成などを解説する。
第5回
日時: 2023年4月7日(金) 16:00~17:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 内藤 聡 氏 (東京工業大学)
タイトル: A presentation of the torus-equivariant quantum $K$-theory ring of flag manifolds of type $A$
概要:
概要を見る この講演では、$A_n$型旗多様体$Fl(n+1)$のトーラス同変量子$K$-環の、多項式環の剰余環としての明示的な表示を与える; 特に、この剰余環の定義イデアルの生成元の具体形を与える。 また、この生成元の具体形導出の背景では、アフィン量子群のレベル・ゼロDemazure加群の指標公式が重要な役割を果たしている事を説明したい。
第4回
日時: 2023年3月10日(金) 16:00~17:00
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H201セミナー室
講演者: 鶴崎 修功 氏 (東京大学)
タイトル: 主$\mathfrak{sl}_2$部分代数の一般化である$\mathfrak{sl}_2$部分代数による rank 2 対称双曲型 Kac-Moody Lie 代数の既約分解
概要:
概要を見る hyperbolic Kac-Moody Lie algebra には principal $\mathfrak{sl}_2$ subalgebra が存在し、これは有限次元単純リー代数における principal orbit に対応する。 rank 2 symmetric hyperbolic Kac-Moody Lie algebra の場合に、principal $\mathfrak{sl}_2$ subalgebra の拡張としてある $\mathfrak{sl}_2$ subalgebra のクラスを構成した。 この $\mathfrak{sl}_2$ subalgebra の作用で、もとの hyperbolic Kac-Moody Lie algebra がどのような $\mathfrak{sl}_2$ module に分解するか、 特に主系列表現や補系列表現がどれくらい出てくるかを示したので、これを紹介する。
第3回
日時: 2023年2月10日(金) 13:00~14:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H201セミナー室 (ハイブリッド開催)
講演者: 行田 康晃 氏 (東京大学)
タイトル: Dynkin型ルート系、有限表現型道代数、有限型団代数に共通する組み合わせ構造について
概要:
概要を見る 現在に至るまでに、Dynkinルート系のルート、有限表現型道代数の直既約加群、有限型団代数の団変数の間に、「団構造」と呼ばれる構造を保つような全単射対応が存在することが明らかにされてきた。これは、これら3つの数学的対象間に共通の組み合わせ構造が存在することを意味しており、現在ではこの団構造の研究がこれら3つの分野の発展に大きく貢献している。
各対象に導入される団構造は「交換グラフ」と呼ばれる辺に向きのないグラフを用いて表すことができるが、本講演では交換グラフの各辺に向きをつけた「交換箙」を考えより強い意味での団構造を導入した上で、Dynkinルート系、有限表現型道代数の直既約加群、有限型団代数の団変数による3つの「より強い団構造」が同じものになることを、具体例を交えながら紹介する。
第2回
日時: 2023年1月24日(火) 16:00~17:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 笹本 智弘 氏 (東京工業大学)
タイトル: Skew RSK dynamics and affine crystal
概要:
概要を見る We explain various properties and applications of the skew RSK dynamics, which we introduced recently as a time evolution for a pair of skew Young tableaux (P,Q) [1]. The dynamics exhibits solitonic behaviors similar to box ball systems (BBS). Associated affine crystal structure allows to give a bijective proof of the Cauchy identity for the $q$-Whittaker polynomials. Its refinement provides a connection between Kardar-Parisi-Zhang(KPZ) models and free fermions at finite temperature.

[1] T. Imamura, M. Mucciconi, T. Sasamoto, Skew RSK dynamics: Greene invariants, affine crystals and applications to $q$-Whittaker polynomials, arXiv: 2106.11922.

備考:講演は日本語で行われる予定です.
第1回
日時: 2022年12月16日(金) 15:00~16:30
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 本館2階H213セミナー室
講演者: 河野 隆史 氏 (早稲田大学)
タイトル: Grassmann多様体の量子K理論におけるChevalley公式
概要:
概要を見る 量子K環は,GiventalおよびLeeにより2000年代に導入された.その積の構造は,K理論的なGromov-Witten不変量によって定義される.Schubert calculusでは,旗多様体やGrassmann多様体などに対する量子K環を,組合せ論的に記述することが一つの目的である.一般に,それらの量子K環の積の構造を組合せ論的に完全に記述することは困難である.しかし,Buch-Chaput-Mihalcea-Perrinは,その構造がChevalley公式という一部の積の展開公式のみで決定されることを示した.本講演では,C型のGrassmann多様体の場合に,Chevalley公式の組合せ論的な記述を紹介する.

世話人 (in alphabetical order)

Satoshi NAITO 内藤 聡, Hironori OYA 大矢 浩徳Shunsuke TSUCHIOKA 土岡 俊介



最終更新日 : 2023年12月1日.