講義名 解析学特論A1(Advanced topics in Analysis A1)  科目コード:MTH.C405
開講学期 1Q 単位数 1--0--0

担当 小野寺 有紹 准教授:本館2階211号室(内線2213)

【講義の概要とねらい】
本講義およびそれに続く「解析学特論B1」では,楕円型方程式の過剰決定問題を題材とし,領域の変形を伴う偏微分方程式論の幾つかの典型的解析手法を学ぶことが目標である.
ここで扱う過剰決定問題とは,境界条件が過剰に課された偏微分方程式の境界値問題に対して,解が存在するための領域形状を問うものである.
例えば,古典的ディリクレ問題に付加的にノイマン境界条件が課された境界値問題が可解となる領域を問う問題は典型的であり,それは変分不等式や形状最適化問題のEuler-Lagrange方程式として現れる.

本講義では,可解領域の存在,一意性,対称性,および境界条件等の微小摂動に対する領域形状の変化の定量的評価について解説する.
また,それらの解析方法にも焦点を当て,移動平面法,変分法,積分恒等式に加え,線型化解析を基礎とする陰函数型定理や発展方程式的解析について紹介する.

【到達目標】
領域の変形を伴う偏微分方程式の解析手法に習熟する.

【キーワード】
偏微分方程式,過剰決定問題,最大値原理,変分法,解析的半群

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う.適宜レポート課題を出題する.

【授業計画・課題】

第1回 序論
第2回 二階線型楕円型方程式1
第3回 二階線型楕円型方程式2
第4回 二階線型楕円型方程式3
第5回 過剰決定問題における対称性1
第6回 過剰決定問題における対称性2
第7回 領域変分公式1
第8回 領域変分公式2

課題は講義中に指示する.


【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,授業内容に関する予習と復習(課題含む)を十分に行うこと.

【教科書】
使用しない

【参考書、講義資料等】
- D. Gilbarg, N. Trudinger, Elliptic Partial Differential Equations of Second Order, Springer, 2001.
- A. Henrot, M. Pierre, Shape variation and optimization, European Mathematical Society, 2018.
- A. Lunardi, Analytic Semigroups and Optimal Regularity in Parabolic Problems, Birkhauser, 1995.

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題 (100%) による.

【関連する科目】
MTH.C406 : 解析学特論B1

【履修の条件・注意事項】
解析学特論B1(MTH.C406)も同時に履修すること.