講義名 実解析第二Real Analysis II  科目コード:MTH.C306
開講学期 2Q 単位数 1--1--0
担当 利根川 吉廣 教授:本館2階203号室(内線2209)


【講義の概要とねらい】

本講義は,直前に行われる「実解析第二」に続くものである.本講義では,測度および測度による積分(Lebesgue積分)に関する,より発展的な概念と性質を扱う.まず測度の構成や拡張について学ぶ.次に,Lebesgue測度による積分とRiemann積分との関係を明らかにする.その次に,積分により定まる関数空間を導入し,その基本的な性質について学ぶ.最後に,直積空間上の(逐次)積分の測度論的な取り扱いとして,Fubiniの定理について学ぶ.
Lebesgueによって集合論の土台の上に構築された測度および積分の理論は,長さや面積,体積あるいは確率等の概念の自然な拡張とみなせる.無限が関わる操作(図形や関数に対する極限等)は,自然に理論の枠内で取り扱うことができる.本講義を通じて,Lebesgue式の積分によって理論の適用範囲がどう拡がり,それがどのような局面で有効となるのかを伝えたい.

【到達目標】
・測度の基本的な構成方法の概略を説明できるようになること.
・Lebesgue積分とRiemann積分の違いが説明できるようになること.
・Lebesgue積分の理論を微分積分学の問題に応用できるようになること.
・積分に関する関数不等式や関数空間を用いる考え方に馴染むこと.
・Fubiniの定理を(多)重積分・逐次積分の計算に正しく適用できるようになること.

【キーワード】
 Hopfの拡張定理,外測度,Caratheodory可測性,Riemann積分,Hölderの不等式,Minkowskiの不等式,Lebesgue空間,直積測度,Fubiniの定理

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
 通常の講義形式による講義と問題演習形式の講義を交互に行う.

【授業計画・課題】
第1回 測度の拡張定理
第2回 第1回の講義内容に関する問題演習
第3回 外測度と測度の構成
第4回 第3回の講義内容に関する問題演習
第5回 Riemann積分とLebesgue積分の関係
第6回 第5回の講義内容に関する問題演習
第7回 L^p-空間とその完備性,基本的な関数不等式
第8回 第7回の講義内容に関する問題演習
第9回 直積測度と累次積分
第10回 第9回の講義内容に関する問題演習
第11回 Fubiniの定理とその応用
第12回 第11回の講義内容に関する問題演習
第13回 Fubiniの定理の拡張
第14回 第13回の講義内容に関する問題演習


課題は講義中に指示する

【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
ルベーグ積分の基礎,日野正訓

【成績評価の基準及び方法】
試験,レポートと演習時の発表.

【関連する科目】
MTH.C305 : 実解析第一
MTH.C201 : 解析学概論第一

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
実解析第一を履修済みであること.
解析学概論第一,同第二,位相空間論第一,同第二を履修済みであることが望ましい.