講義名 応用解析序論第二(Applied Analysis II)  科目コード:MTH.C212
開講学期 4Q 単位数 1--0--0

担当 小池 開 助教:本館3階312号室(内線3398)


【講義の概要とねらい】
 本講義ではまず,『応用解析序論第一』で学んだフーリエ級数の理論を,幾何学的な視点から再訪する.具体的にはフーリエ級数を関数の「正規直交基底」による展開として捉え直す.これでフーリエ級数の理論は一段落して,次に実数直線上の関数のフーリエ変換について学ぶ.これは有界区間上の関数を対象としていたフーリエ級数を実直線上の関数に拡張したものである.これにより,さらに多様な応用への道が開かれる.
 本講義のねらいは,実数直線上の関数のフーリエ変換の基礎,またその典型的な応用を理解することにある.フーリエ変換の応用範囲は極めて広いが,本講義ではとくに微分方程式への応用を取り上げる.

【到達目標】
1)フーリエ級数の幾何学的な見方(内積,正規直交基底)を説明できるようになること.とくにパーセヴァルの定理の内容とその応用について理解すること.
2)実数直線上の関数のフーリエ変換の基本性質を理解し,いくつかの具体例を計算できるようになること.
3)フーリエの反転公式とプランシュレルの定理を理解し,応用できるようになること.

【キーワード】
正規直交基底,パーセヴァルの定理,実数直線上の関数のフーリエ変換,フーリエの反転公式,プランシュレルの定理

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
講義内容の理解を確認するため,毎回提出課題を与える.

【授業計画・課題】

  授業計画 課題
第1回 正規直交基底とフーリエ級数展開 関数同士の内積の概念を理解すること.また,フーリエ級数展開は正規直交基底による展開とみなせることを説明できるようになること.
第2回 フーリエ級数の平均二乗収束とパーセヴァルの定理 フーリエ級数の幾何学的な見方を応用し,フーリエ級数の平均二乗収束について説明できるようになること.またそれに付随して得られるパーセヴァルの定理を理解し,応用できるようになること.
第3回 実数直線上の関数のフーリエ変換とその
基本的性質
実数直線上の関数のフーリエ変換の定義を述べることができ,微分との関連などの基本的な性質を証明できるようになること.
第4回 フーリエの反転公式 フーリエの反転公式を理解し,それを応用できるようになること.
第5回 フーリエ変換と合成積 合成積のフーリエ変換はフーリエ変換の積になることを説明できるようになる.また,それを応用できるようになること.
第6回 プランシュレルの定理 プランシュレルの定理を理解し,それを応用できるようになること.
第7回 フーリエ変換の応用 講義中に指示する.


【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
エリアス・M. スタイン,ラミ・シャカルチ『フーリエ解析入門』(訳者:新井仁之,杉本充,高木啓行,千原浩之)日本評論社(2007年):フーリエ解析に関する世界的に定評のある教科書.本講義(第3Q)と関係する箇所は主に第1−4章.理論の背景や動機に関する説明が丁寧に述べられており,また良質な問題が豊富に収録されている.

【成績評価の基準及び方法】
各回の講義内容の理解を毎回の提出課題と期末試験により評価する.

【関連する科目】
ZUA.C201 : 解析学概論第一
ZUA.C202 : 解析学概論第二
MTH.C211 : 応用解析序論第一
MTH.C351 : 函数解析
MTH.C305 : 実解析第一
MTH.C306 : 実解析第二
MTH.C301 : 複素解析第一
MTH.C302 : 複素解析第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
『微分積分学第一・演習』,『微分積分学第二』,『微分積分学演習第二』,『解析学概論第一』,『解析学概論第二』,『応用解析序論第一』の内容を習得していることが望ましい.