講義名 位相幾何学(Topology  科目コード:MTH.B341
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 野坂 武史 准教授:本館3階334B号室(内線2204)



【講義の概要とねらい】
 本講義では、ホモロジー群および基本群に関する基本事項を学ぶ。ホモロジー群と基本群は位相幾何学における最も基本的な概念であり、位相不変量の典型的な例でもある。
講義の流れとして, まずホモトピーや変位レトラクションといった概念を紹介した後、単体、単体複体、単体写像などの単体複体に関連する基本的な概念を解説する。次に、単体複体の鎖群とホモロジー群や単体写像の誘導準同型を導入し、ホモロジー群のホモトピー不変性を紹介する。最後に、位相空間の基本群を定義し、Seifert-van Kampenの定理を述べる。

【到達目標】
・与えられた単体の集合が単体複体であるかどうか、判定できるようになること
・単体近似定理の正確な内容と意義を理解すること
・与えられた単体複体のホモロジー群が計算できるようになること
・簡単な位相空間の基本群が計算できるようになること

【キーワード】
ホモトピー、変位レトラクト、単体複体、単体写像、鎖群、境界準同型、ホモロジー群、誘導準同型、Euler数、Mayer-Vietoris完全系列、ホモトピー不変性、基本群、Seifert-van Kampenの定理

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式による授業を行う。

【授業計画・課題】

第1回 あらまし、積空間、商空間、ホモトピー
第2回 ホモトピー同値、変位レトラクト、可縮、単体、面、重心座標
第3回 単体複体、部分複体、多面体、単体分割、抽象単体複体、
第4回 幾何学的実現、単体写像、同型 、単体の重心、可接合、結
第5回 輪体、境界輪体、ホモロジー群、Betti数、Euler数
第6回 ホモロジー群の簡単な計算(I)と、完全系列
第7回 鎖写像、ホモロジー群の間の誘導準同型、関手性
第8回 連結準同型、Mayer-Vietoris完全系列
第9回 ホモロジー群の計算例(II)
第10回 ホモロジー群の応用
第11回 ホモロジー群の展開; 胞体ホモロジー、特異ホモロジー、コホモロジーなど
第12回 道、ループ、道の積、逆の道、基本群
第13回 誘導準同型、基点の取り替え、基本群のホモトピー不変性
第14回 群の自由積、Seifert-van Kampenの定理


課題は講義中に指示する

【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

【教科書】
田村一郎「トポロジー」岩波書店
(注意:購入は必須ではない)

【参考書、講義資料等】
中岡稔「位相幾何学 ホモロジー論」共立出版
Allen Hatcher, Algebraic Topology, Cambridge University Press

【成績評価の基準及び方法】
レポート(100%)

【関連する科目】
MTH.B301 : 幾何学第一
MTH.B302 : 幾何学第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「位相空間論第一(MTH.B201)」、「位相空間論第二(MTH.B202)」、「位相空間論第三(MTH.B203)」、「位相空間論第四(MTH.B204)」、「代数学概論第一(MTH.A201)」、「代数学概論第二(MTH.A202)」、「代数学概論第三(MTH.A203)」、「代数学概論第四(MTH.A204)」を 履修済みであることが望ましい。