講義名 確率論(Probability Theory 科目コード:MTH.C361
開講学期 4Q  単位数 2--0--0
担当 二宮 祥一 教授: 西9号館1階W103号室(内線3517)



【講義の概要とねらい】

本講義では,測度論的確率論の諸概念を導入し,その枠組みで基本的な極限定理を取り扱う.まず,確率論全般の基礎となる諸概念の定義と基本的な性質を論じ る.具体的には,確率空間,確率測度,確率変数とその分布,期待値,独立性等を扱う.これらを礎として,最も基本的な極限定理である大数の法則および中心 極限定理を定式化し,証明する.
Kolmogorovによる測度論を用いた確率論の公理化により,それまでにも実社会および諸科学で広く利用され てきた確率の概念が,数学的に厳密な基礎を持つことになった.特に無限に関する議論を正確に展開することが可能になり,各種極限定理の意味するところを正 確に述べられるようになった.本講義を通じて,従来直感的に扱ってきた確率論の諸概念・諸定理および種々の確率計算がどのように定式化され,いかなる性質 を持つのか明らかにする.

【到達目標】
・測度論に基づく確率論の議論を追えるようになること.
・与えられた分布に対して,対応する確率変数の期待値や分散,特性関数等の特性量が計算できるようになること.
・確率変数列および確率分布列の収束について,その定義と性質を把握し,基本的な例を説明できるようになること.
・大数の法則や中心極限定理をどう定式化するのか,厳密に説明できるようになること.
・上記の極限定理の証明のあらすじを説明できるようになること.

【キーワード】
確率空間,確率測度,確率変数,確率分布,期待値,独立性,概収束,確率収束,Borel-Cantelliの補題,大数の法則,分布収束,特性関数,中心極限定理,マルチンゲール

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式.

【授業計画・課題】

第1回 確率空間,確率測度, Borel-Cantelliの定理
第2回 確率変数,独立性
第3回 Kolmogorovの0-1法則
第4回 期待値
第5回 条件附期待値
第6回 離散時間マルチンゲール
第7回 任意停止定理, マルチンゲール収束定理
第8回 大数の強法則
第9回 特性関数
第10回 大数の強法則の応用, 確率測度の収束
第11回 弱収束
第12回 特性関数の基本的な性質,特性関数の例
第13回 特性関数と分布
第14回 中心極限定理


課題は講義中に指示する

【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
David Williams, ``Probability with Martingales'', Cambridge University Press

【成績評価の基準及び方法】
期末試験(およそ50%)およびレポート(およそ50%).

【関連する科目】
MTH.C211 : 応用解析序論第一
MTH.C212 : 応用解析序論第二
MTH.C305 : 実解析第一
MTH.C306 : 実解析第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「応用解析序論第一」,「応用解析序論第二」,「実解析第一」,「実解析第二」を履修済みであることが望ましい.