講義名 位相空間論第二(Introduction to Topology II) 科目コード:MTH.B202
開講学期 2Q 単位数 1--1--0
担当 Kalman Tamas 准教授:本館2階208号室(内線2217)
河井 真吾 助教:本館3階314A号室(内線2215)
【講義の概要とねらい】
本講義の主要なテーマは順序集合とユークリッド空間および距離空間である。順序集合に関する基本的事項を解説した後、整列集合、帰納的順序集合およびこれ
らの応用について学ぶ。また、ユークリッド空間に関する基本的事項を解説し、これまで慣れ親しんできた連続写像の概念が、開集合の言葉で簡潔に言い表せる
ことを学ぶ。最後に距離空間の概念を定義し、写像の連続性がユークリッド空間の場合とまったく同様に言い換えられることをみる。隔回で講義内容に関する演
習問題を行う。本講義は、1Qに開講される「位相空間論第一」に続くものである。
集合と写像は数学および周辺科学における基本言語であり、適用
範囲の広い概念である。一方でこれらは抽象的な概念であり、必ずしも直感がはたらきやすいものではないため、多くの初学者にとっては理解しにくいものであ
る。本講義では、集合と写像の基本的な性質を導くために、直感に頼ることの少ない純粋な論証を行い、数学における論理の進め方の典型例も学ぶ。
【到達目標】
・全順序と半順序の違いを理解すること
・整列集合の持つ特別な性質を理解すること
・ツォルンの補題のいくつかの応用を理解すること
・整列可能定理、ツォルンの補題、選択可能公理の同値性を理解すること
・ユークリッド空間と距離空間における基本的な性質を理解すること
【キーワード】
順序集合、全順序と半順序、整列集合、ツォルンの補題、選択公理、整列可能定理、ユークリッド空間、距離空間、連続写像
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式による講義と問題演習形式の講義を交互に行う
【授業計画・課題】
第1回 | 順序関係、全順序、整列集合、整列集合に関する基本性質 |
第2回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第3回 | 帰納的順序集合、ツォルンの補題 |
第4回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第5回 | 整列可能定理、整列可能定理と選択公理の同値性 |
第6回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第7回 | 順序数、濃度の比較定理 |
第8回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第9回 | ツォルンの補題の応用例 |
第10回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第11回 | ユークリッド空間、距離空間、開集合と閉集合 |
第12回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第13回 | 距離空間における基本的概念 |
第14回 | 前回の講義内容に関する問題演習 |
第15回 | 理解度確認 |
課題は講義中に指示する
【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
【教科書】
「集合と位相」 内田伏一著 裳華房 (1986年)
【参考書、講義資料等】
「集合と位相」 斎藤毅著 東京大学出版会(2009年)
「集合・位相入門」 松坂和夫著 岩波書店 (1968年)
「集合と位相空間」 森田茂之著 朝倉書店 (2002年)
【成績評価の基準及び方法】
期末試験(およそ70%) および問題演習における解答状況(およそ30%)
【関連する科目】
MTH.B201 : 位相空間論第一
MTH.B203 : 位相空間論第三
MTH.B204 : 位相空間論第四
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
位相空間論第一を履修済みであること。
微分積分学第一・演習、微分積分学第二、同演習、線形代数学第一・演習、線形代数学第二、同演習を履修済みであることが望ましい。