講義名 数学特別講義W(Special lectures on advanced topics in Mathematics W)  科目コード:MTH.E654
開講学期 3Q 単位数 2--0--0
担当 篠崎 裕司  日本銀行


【講義の概要とねらい】
金融危機後の数理ファイナンス :入門から最先端まで

【講義の概要とねらい】
 本講義では, 金融セクターを中心に実社会で活用されている数理について, 解説する. まず, 金融セクターでの数理の活用例を概観し, 確率微分方程式や数理ファイナンスの基礎を解説, その上でそれらの理論を実装する方法を解説する. 更に, 現代数学が実社会での問題の解決にどう寄与しているか解説する. 特に, 将来金融機関で数理専門職の「クオンツ」として働くことを希望する学生が実務に入りやすくなる助けとすると共に, 数学を研究する学生に金融の現場での種々の数理的課題を紹介することを目的とする.
講義内容は, 参加者の希望に応じて変動するが, 以下のようなトピックを想定している:

1. 金融商品の価格付の基礎 (金融商品・デリバティブとは、二項モデル、ブラックショールズモデル)
2. 伊藤解析と数理ファイナンスの基礎 (伊藤解析の基本的な結果と、それによる無裁定・複製による価格付理論の紹介)
3. 数理ファイナンスの現場に金融の現場における活用例 (モデルの分類と実務上の価格付の工程、金利期間構造モデル、Volatility smile等)
4. 計算ファイナンスの諸問題 (モンテカルロシミュレーション / 確率微分方程式の離散近似 / 有限差分法)
計算機を用いた課題を多く出す想定である. 確率論の基本的な予備知識は仮定するが, 確率微分方程式や数理ファイナンスの予備知識は仮定しない.

【到達目標】
・確率論や数理ファイナンスが金融の現場でどう使われているか知ること
・数理ファイナンスの最先端の話題を自らの力で調査できるようになること
・普段研究している数学と実社会の繋がりの一端を感じること

【実務経験と講義内容との関連】
担当教員は金融機関において数理を用いる実務と研究に携わってきた.
それらの経験から, 数学の理論が実社会での問題解決に本質的に活かされている実例を多く挙げる.

【キーワード】
数理ファイナンス, デリバティブ・クオンツ, 無裁定価格理論, 確率微分方程式, モンテカルロシミュレーション, マリアバン解析

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う. また, 適宜レポート課題を出す.

【授業計画・課題】

 第1回 金融商品の価格付の基礎
 第2回 確率微分方程式と数理ファイナンスの基礎
 第3回 計算ファイナンスの基礎
 第4回 計算ファイナンスの実践(実装方法等の解説)
 第5回 現代数学の貢献例


課題は講義中に指示する.

【授業時間外学修(予習・復習等】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと.

【教科書】
講義中に紹介する.

【参考書、講義資料等】
講義中に紹介する.

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題(100%)による.

【関連する科目】
MTH.C361 : 確率論
MTH.C507 : 解析学特論G1
MTH.C508 : 解析学特論H1

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
特になし