講義名 複素解析第一(Complex Analysis I) 科目コード:ZUA.C301
開講学期 1-2Q 単位数 2--0--0
担当 (1Q) 藤川 英華 准教授:本館2階229号室(内線2201)
(2Q) 柳田 英二 教授:本館2階202号室(内線2453)
【講義の概要とねらい】
この講義,複素解析では,1変数複素数値関数について解説する.これは発展を続ける現代数学に不可欠なものである.本科目は演習科目「解析学演習B第一」とセットで履修することが強く推奨される.
この講義の最初では,コーシーリーマンの方程式について解説する.これは実1変数の微分の概念を複素数関数に拡張する際にキーとなるものである.複素関数で微分可能なものは正則または解析的と言われる.さらにこの講義では,解析性の幾つかの同値条件についても論じる.解析関数についてのこれらの同値条件の理論はコーシー理論として知られているものである.次に,有理型関数とその孤立特異点について解説する.また,等角写像と平面領域における等角写像の例について解説する.さらに留数を導入し,それを用いて定積分の計算が可能になることを講義する.
【到達目標】
本講義を履修することによって以下のことが取得される.
1)複素微分とコーシー・リーマン方程式の理解.
2)コーシーの積分定理とその応用の理解.
3)最大値原理とシュワルツの補題の理解.
4)有理型関数とその特異点の理解.
5)孤立特異点の分類.
6)留数定理を応用して定積分の計算が可能になる.
【キーワード】
正則関数,コーシー・リーマンの方程式,収束半径,コーシーの積分定理, 有理型関数,孤立特異点,留数定理,等角写像.
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式による講義である.
【授業計画・課題】
第1回 | 複素関数の微分、コーシー・リーマンの関係式 |
第2回 | べき級数とその基本的性質 |
第3回 | リーマン球面,初等関数 |
第4回 | 線積分の導入,コーシーの定理 |
第5回 | コーシーの定理の応用 |
第6回 | コーシーの積分定理とその応用 |
第7回 | 最大値原理,シュワルツの補題、理解度確認 |
第8回 | 有理型関数,鏡像の原理 |
第9回 | 有理型関数の孤立特異点 |
第10回 | 有理型関数の極と留数 |
第11回 | 平面領域の等角写像 |
第12回 | 留数定理と定積分 |
第13回 | 留数定理と定積分の応用 |
第14回 | 偏角の原理 |
課題は講義中に指示する
【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
【教科書】
川平友規 「入門複素関数」 裳華房
【参考書、講義資料等】
講義時に指定する。
【成績評価の基準及び方法】
期末試験による。詳細は授業中に述べる。
【関連する科目】
MTH.C302 : 複素解析第二
MTH.C301 : 複素解析第一
ZUA.C302 : 解析学演習B第一
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「解析概論第一」及び「同第二」を履修していることが望ましい.「解析学演習B第一」もあわせて履修することが望ましい.