講義名 複素解析続論(Complex Analysis III) 科目コード:MTH.C331
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 藤川 英華 准教授: 本館2階229号室(内線2201)
【講義の概要とねらい】
この講義の目的は古典的な複素解析の現代的な姿を概観することである.
初めに,上半平面上で双曲幾何を導入する.正規族の概念を解説し,リーマンの写像定理を証明する.この定理は複素解析において様々な応用を持つものである.そしてリーマン面を定義し,その初等的な理論を示す.リーマン面の理論は複素解析において高いレベルの基礎となるものである.複素解析の基礎的なものと同様,正則関数はその理論の根幹である.しかし,リーマン面の導入によってその意味は非常に広いものになることが示される.最後に楕円関数と楕円曲線の基本的な部分を解説する.
【到達目標】
本講義を履修することによって以下のことが取得される.
1)双曲幾何の理解.
2)正規族の概念とその応用.
3)リーマンの写像定理とその応用.
4)リーマン面の概念の理解.
【キーワード】
正規族,リーマンの写像定理,リーマン面.
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式による講義.
【授業計画・課題】
第1回 | 調和函数とその性質 |
第2回 | ディリクレ問題 |
第3回 | 一次分数変換:分類と性質 |
第4回 | 双正則写像 |
第5回 | 正規族 |
第6回 | モンテルの定理とその応用 |
第7回 | リーマンの写像定理 |
第8回 | 双曲平面とポアンカレの円板 |
第9回 | 解析接続 |
第10回 | モジュラー関数 |
第11回 | 被覆と写像の持ち上げ |
第12回 | ピカールの定理 |
第13回 | リーマン面の定義と構成 |
第14回 | リーマン面上の関数、次数と種数 |
課題は講義中に指示する
【授業時間外学修(予習・復習等)】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
【教科書】
特になし
【参考書、講義資料等】
J. Gilman, I. Kra and R. Rodriguez: Complex Analysis (Springer, GTM 245).
【成績評価の基準及び方法】
期末試験(70%) およびレポート(30%)
【関連する科目】
MTH.C301 : 複素解析第一
MTH.C302 : 複素解析第二
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「複素解析第一」及び「複素解析第二」を履修していることが望ましい.