講義名 実解析第二Real Analysis II  科目コード:MTH.C306
開講学期 2Q 単位数 1--1--0
担当 川平 友規 准教授:本館2階210号室(内線2212)


【講義の概要とねらい】

本講義は,直前に行われる「実解析第一」に続くものである.本講義では,測度および測度による積分(Lebesgue積分)に関する,より発展的な概念と 性質を扱う.まず測度の構成や拡張について学ぶ.次に,Lebesgue測度による積分とRiemann積分との関係を明らかにする.その次に,積分によ り定まる関数空間を導入し,その基本的な性質について学ぶ.最後に,直積空間上の(逐次)積分の測度論的な取り扱いとして,Fubiniの定理について学 ぶ.
Lebesgueによって集合論の土台の上に構築された測度および積分の理論は,長さや面積,体積あるいは確率等の概念の自然な拡張とみなせ る.無限が関わる操作(図形や関数に対する極限等)は,自然に理論の枠内で取り扱うことができる.本講義を通じて,Lebesgue式の積分によって理論 の適用範囲がどう拡がり,それがどのような局面で有効となるのかを伝えたい.

【到達目標】
・測度の基本的な構成方法の概略を説明できるようになること.
・Lebesgue積分とRiemann積分の違いが説明できるようになること.
・Lebesgue積分の理論を微分積分学の問題に応用できるようになること.
・積分に関する関数不等式や関数空間を用いる考え方に馴染むこと.
・Fubiniの定理を(多)重積分・逐次積分の計算に正しく適用できるようになること.

【キーワード】
Hopfの拡張定理,外測度,Caratheodory可測性,Riemann積分,Hölderの不等式,Minkowskiの不等式,Lebesgue空間,直積測度,Fubiniの定理

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式による講義と問題演習形式の講義を交互に行う.

【授業計画・課題】
第1回 測度の拡張定理
第2回 第1回の講義内容に関する問題演習
第3回 外測度と測度の構成
第4回 第3回の講義内容に関する問題演習
第5回 Dynkin族定理とその応用,Riemann積分とLebesgue積分の関係
第6回 第5回の講義内容に関する問題演習
第7回 Lp-空間とその完備性,基本的な関数不等式
第8回 第7回の講義内容に関する問題演習
第9回 直積測度と累次積分
第10回 第9回の講義内容に関する問題演習
第11回 Fubiniの定理とその応用
第12回 第11回の講義内容に関する問題演習
第13回 Fubiniの定理の拡張
第14回 第13回の講義内容に関する問題演習
第15回 理解度確認


課題は講義中に指示する

【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
「ルベーグ積分入門」 伊藤清三著 (裳華房)
「ルベーグ積分の基礎・基本」 谷口説男著 (牧野書店)
W. Rudin "Real and complex analysis" McGraw-Hill.

【成績評価の基準及び方法】
期末試験(およそ50%)および問題演習における解答状況(およそ50%).

【関連する科目】
MTH.C305 : 実解析第一
MTH.C201 : 解析学概論第一

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
実解析第一を履修済みであること.
解析学概論第一,同第二,位相空間論第一,同第二を履修済みであることが望ましい.