講義名 集合と位相第一(Set and Topology I) 科目コード:ZUA.B201
開講学期 1-2Q 単位数 2--0--0
担当 遠藤 久顕 教授:本館2階204号室(内線2208)
【講義の概要とねらい】
本講義の主要なテーマは集合と写像に関する基本的な概念と性質、順序集合とユークリッド空間および距離空間である。集合に関する基本的な演算を解説した後、集合の間の写像に関する基本的な概念(単射、全射、全単射)を学ぶ。次に、二項関係、特に同値関係について解説し、同値類および商集合について学ぶ。次に集合の間の相等について解説し、いわゆる濃度について学ぶ。次に順序集合、整列集合と帰納的順序集合を導入し、これらの概念の応用を解説する。また、ユークリッド空間に関する基本的事項を解説し、これまで慣れ親しんできた連続写像の概念が、開集合の言葉で簡潔に言い表せることを学ぶ。最後に距離空間の概念を定義し、写像の連続性がユークリッド空間の場合とまったく同様に言い換えられることをみる。本科目は演習科目「集合と位相演習」とセットで履修することが強く推奨される。
集合と写像は数学および周辺科学における基本言語であり、適用範囲の広い概念である。一方でこれらは抽象的な概念であり、必ずしも直感がはたらきやすいものではないため、多くの初学者にとっては理解しにくいものである。本講義では、集合と写像の基本的な性質を導くために、直感に頼ることの少ない純粋な論証を行い、数学における論理の進め方の典型例も学ぶ。
【到達目標】
・ド・モルガンの法則を自由に使えるようになること
・与えられた写像が全射になるか、単射になるか、全単射になるか判定できるようになること
・与えられた写像の像と逆像を求められるようになること
・同値関係と商集合の具体例を扱えるようになること
・連続の濃度と可算の濃度の違いを理解すること
・全順序と半順序の違いを理解すること
・整列集合の持つ強い性質を理解すること
・ツォルンの補題のいくつかの応用を理解すること
・整列可能定理、ツォルンの補題、選択可能公理の同値性を理解すること
・ユークリッド空間と距離空間における基本的な性質を理解すること
【キーワード】
集合、写像、像と逆像、直積集合、二項関係、同値関係、商集合、集合の濃度、可算濃度と非可算濃度
順序集合、全順序と半順序、整列集合、ツォルンの補題、選択公理、整列可能定理、ユークリッド空間、距離空間、連続写像
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式による講義と問題演習形式の講義を交互に行う
【授業計画・課題】
第1回 | 集合の定義、例、和集合、共通部分、部分集合、補集合 |
第2回 | ド・モルガンの法則、分配法則、集合の間の写像 |
第3回 | 像と逆像、写像の合成、直積集合 |
第4回 | 集合の間の対応、添え字づけられた集合族 |
第5回 | 二項関係、同値関係、同値類、商集合 |
第6回 | 集合の濃度、濃度の大小関係、可算集合 |
第7回 | 連続の濃度、非可算集合、巾集合の濃度 |
第8回 | 理解度確認 |
第9回 | 順序関係、全順序、整列集合、整列集合に関する基本性質 |
第10回 | 帰納的順序集合、ツォルンの補題 |
第11回 | 順序数、濃度の比較定理 |
第12回 | 整列可能定理、整列可能定理と選択公理の同値性 |
第13回 | ツォルンの補題の応用例 |
第14回 | ユークリッド空間、距離空間、開集合と閉集合 |
第15回 | 距離空間における基本的概念 |
課題は講義中に指示する
【教科書】
「集合と位相」 内田伏一著 裳華房 (1986年)
【参考書、講義資料等】
「集合と位相」 斎藤毅著 東京大学出版会 (2009年)
「集合・位相入門」 松坂和夫著 岩波書店 (1968年)
「集合と位相空間」 森田茂之著 朝倉書店 (2002年)
【成績評価の基準及び方法】
中間試験(およそ50%)および期末試験(およそ50%)
【関連する科目】
MTH.B201 : 位相空間論第二
MTH.B202 : 位相空間論第三
ZUA.B202 : 集合と位相演習
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「微分積分学第一・演習」、「微分積分学第二」、「同演習」、「線形代数学第一・演習」、「線形代数学第二」、「同演習」を履修済みであることが望ましい。
「集合と位相演習」を同時に履修することが強く推奨される(未履修の場合)