講義名 幾何学特論F1(Advanced topics in Geometry F1) 科目コード:MTH.B506
開講学期 2Q 単位数 1--0--0
担当 本多 宣博 教授:本館2階215号室(内線2210)
【講義の概要とねらい】
複素多様体論の基本事項を解説する。基本的な例について述べた後、調和微分形式の理論について概説する。調和微分形式の理論は幾何学において強力な結果を導く。複素多様体の場合は、複素構造から生じる対称性により、ド・ラームの定理の複素多様体版というべき、ドルボーの定理が成り立つ。これらも調和微分形式による表現がある。さらにケーラー多様体の場合には、実の意味での調和微分形式と複素の意味での調和微分形式が一致し、位相構造の制約を導く。
本講義は「幾何学特論E1」(第一クオーター)に続くものである。
【到達目標】
・複素多様体の基本的な例について理解すること
・コホモロジーと調和微分形式について理解すること
・実閉多様体およびコンパクト複素多様体上での微分形式の分解定理を理解すること
・複素幾何における基本的な概念に慣れること
【キーワード】
複素多様体、射影代数多様体、調和微分形式、ドルボーコホモロジー、第一チャーン類、ブローアップ
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式による講義
【授業計画・課題】
第1回 | 正則関数、複素多様体、複素射影空間、代数多様体 |
第2回 | 予備定理、コンパクト複素多様体上の交叉形式 |
第3回 | 調和微分形式とホッジ分解 |
第4回 | 調和微分形式とホッジ分解(複素多様体の場合) |
第5回 | ドルボーコホモロジー群、ドルボーの定理、ケーラー多様体上のホッジ分解 |
第6回 | 正則直線束、第一チャーン類、正値性、消滅定理 |
第7回 | コホモロジー群の計算例 |
第8回 | ブローアップとブローダウン、双有理変換 |
課題は講義中に指示する
【教科書】
使わない
【参考書、講義資料等】
「複素代数幾何学入門」 堀川穎二(岩波書店)
「接続の微分幾何とゲージ理論」 小林昭七(裳華房)
【成績評価の基準及び方法】
レポート課題(100%).
【関連する科目】
MTH.B505 : 幾何学特論E1
MTH.E532 : 数学特別講義H
MTH.C301 : 複素解析第一
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
複素解析における基本事項(「複素解析第一」の内容)を理解していることが望ましい。
「幾何学特論E1」を履修していることを前提として授業を行う。(本科目を履修するための必要条件ではない。)