講義名 代数学続論 (Algebra III)  科目コード:MTH.A331
開講学期 3Q 単位数 1--1--0
担当 加藤 文元 教授:本館2階233号室(内線2202)


【講義の概要とねらい】
 本講義の主要なテーマは体の有限次代数拡大の理論・ガロア理論およびその応用である。ガロア理論は現代数学の基礎へアプローチする際の最も重要な基盤理論の一つであり、同時に大学で学修する代数学の一つの到達点であるとも言える。
 本講義ではガロア理論の基本定理を習得し、その応用として代数方程式の可解性を含めた様々なトピックについての理解を深めることを目的とする。

【到達目標】
体の拡大の基礎理論について、および有限次代数拡大とその剰余環による構成やガロア拡大などについて学ぶ。さらに体の間の準同型やそれらの拡大、体の自己 同型および代数閉包の存在などについても学修する。ガロア拡大体の中間体と対応するガロア群の部分群との間の対応(ガロア対応)についての定理、いわゆる ガロア理論の基本定理を理解し、その応用として有限体の理論、代数方程式の代数的可解性の問題、さらには作図問題などを理解する。

【キーワード】
ガロア拡大、ガロアの基本定理、有限体、代数方程式の可解性

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式の講義中に演習形式を組み入れる

【授業計画・課題】

第1回 導入および体の概念についても基礎的事項のまとめ
第2回 拡大体に関する基礎的事項
第3回 単純拡大の概念と構成、代数的拡大
第4回 分解体および最小分解体に関する基礎的事項
第5回 代数的閉体の概念とその存在
第6回 分離拡大体と非分離拡大体
第7回 体の同型写像とその延長についての基礎的事項
第8回 正規拡大、ガロア拡大とそのガロア群
第9回 ガロアの基本定理
第10回 ガロア群の様々な計算例
第11回 円分体
第12回 トレースとノルム、有限体
第13回 巡回クンマー拡大の一般論
第14回 ガロア理論の応用:方程式のべき根による解法
第15回 ガロア理論の応用:定規とコンパスによる作図およびその具体例


課題は講義中に指示する

【教科書】
桂利行著『代数学III 体とガロア理論(大学数学の入門B)』、東京大学出版会、2005年

【参考書、講義資料等】
E.アルティン著『ガロア理論入門』、寺田文行訳、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2010年
中島匠一著『代数方程式とガロア理論』(共立叢書)、共立出版、2006年

【成績評価の基準及び方法】
期末試験における点数、および問題の解答状況により評価する。 詳細は講義中に指示する。

【関連する科目】
MTH.A301 : 代数学第一
MTH.A302 : 代数学第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「代数学第一」・「代数学第二」を履修していること。