講義名 代数学第二 (Algebra II)  科目コード:MTH.A302
開講学期 2Q 単位数 1--1--0
担当 内藤 聡 教授:本館2階232号室(内線2206)


【講義の概要とねらい】
 本講義の主要なテーマは、 (可換) 環とそのイデアルに関するより進んだ概念とその性質、そして (ネーター) 環上の加群の概念とその性質である。本講義では、先ず、(可換) 環の局所化と、イデアルに対する幾つかの基本的な演算を解説した後で、イデアルの準素分解を説明する。次に、ネーター環の概念を導入してその諸性質を説明 し、さらにヒルベルトの基底定理を説明する。最後に、(ネーター) 環上の加群の概念を導入し、特に単項イデアル整域上の有限生成加群の構造定理を説明する。そしてその応用として、線形代数学で非常に有用なジョルダンの標 準形の存在とその計算方法を学ぶ。各回で、講義内容に関する問題演習を行う。本講義は、「代数学第一」 に続くものである。
 環上の加群の理論 は、線形代数学で学ぶベクトル空間と線形写像の理論をより一般の場合にまで拡張・発展させたものである。そして、(ネーター) 環とその上の加群の概念は代数学における基本的概念であり、代数学のみならず数学全般に亘り適用範囲の非常に広いものである。本講義の目的は、これらの概 念に慣れ親しみ、その基本的な性質を良く理解して、正しく使えるようになる事である。

【到達目標】
本講義を履修する事により、以下の知識と能力を習得する。
・(可換) 環の局所化の概念を理解し、また、イデアルに対する諸演算を正しく使う事ができる。
・イデアルの準素分解を理解し、使う事ができる。
・ネーター環の定義とその諸性質を理解する。
・(ネーター) 環上の加群の概念とその諸性質を理解し、特に単項イデアル整域上の有限生成加群の構造定理を正しく使う事ができる。

【キーワード】
環の局所化、準素イデアル、ネーター環、ヒルベルトの基底定理、環上の加群、単項イデアル整域上の加群、単因子、有限生成加群、ジョルダン標準形

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式による講義と、問題演習形式の講義を交互に行う。

【授業計画・課題】

第1回 環の局所化とイデアルの諸演算
第2回 第1回の講義内容に関する問題演習
第3回 準素イデアルとイデアルの準素イデアル分解
第4回 第3回の講義内容に関する問題演習
第5回 ネーター環とヒルベルトの基底定理
第6回 第5回の講義内容に関する問題演習
第7回 環上の加群と自由加群
第8回 第7回の講義内容に関する問題演習
第9回 単項イデアル整域上の加群と単因子論
第10回 第9回の講義内容に関する問題演習
第11回 有限生成加群の構造定理
第12回 第11回の講義内容に関する問題演習
第13回 ジョルダン標準形とその計算方法
第14回 第13回の講義内容に関する問題演習
第15回 理解度確認


課題は講義中に指示する

【教科書】
「代数学 I: 基礎概念・環・加群」浅野 重初著 森北出版

【参考書、講義資料等】
「代数入門 --群と加群--」堀田 良之著 裳華房

【成績評価の基準及び方法】
期末試験 (70 %) 、および問題演習における解答状況 (30 %)。

【関連する科目】
MTH.A201 : 代数学概論第一
MTH.A202 : 代数学概論第二
MTH.A203 : 代数学概論第三
MTH.A204 : 代数学概論第四
MTH.A301 : 代数学第一

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
線形代数学第一・演習、線形代数学第二、線形代数学演習第二、線形空間論第一、線形空間論第二、代数学概論第一・第二、代数学概論第三・第四、代数学第一を履修済みであること、またはそれと同等の知識があること。