講義名 幾何学特論G(Advanced topics in Geometry G) 科目コード:MTH.B503
開講学期 3Q 単位数 1--0--0
担当 本多 宣博 教授:本館2階215号室(内線2210)
河井 真吾 助教:本館3階314A号室(内線2215)
【講義の概要とねらい】
複素代数曲線上のフックス型射影接続とよばれる線形微分方程式に関連した話題をいくつか選んで講義する.フックス型射影接続の概念は,ポアンカレによる代数曲線の一意化の研究にも現れるなど,その歴史は長く,したがって取り上げるべき話題も数多いのであるが,本講義では点付き(とくに4点付き)射影直線の点付き安定有理曲線への退化に関連する話題に重点をおくことにする.4点付き射影直線の退化は,代数幾何学におけるもっとも初等的な退化現象の一つであるが,それらを指定された4点に確定特異点をもつようなフックス型射影接続との関連において考察すると,自明でない事象が現れることを観察したい.とくに具体的な計算を実行しながら,さまざまなモジュライ空間の構成に関する主要なアイデアにも触れることを一つの目標とする.
【到達目標】
本講義を履修し単位を取得する際には,下記のことが期待される:
(1) 点付き安定有理曲線のモジュライ空間と普遍族について正しく理解し,(たとえば4点付き曲線の場合に)具体的に記述することができる.
(2) 特異曲線(族)上の(相対)双対化層とその自己テンソル積の順像について正しく理解し,説明することができる.
(3) 特異曲線(族)上の(相対)射影構造と(相対)フックス型射影接続について正しく理解し,説明することができる.
(4) 4点付き安定有理曲線上のフックス型射影接続のモジュライ空間について正しく理解し,具体的に記述することができる.
【キーワード】
(相対)射影構造,(相対)フックス型射影接続,(相対)シュワルツ微分,点付き射影直線,点付き安定有理曲線,モジュライ空間,普遍族,(相対)双対化層, 順像層
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
講義内容の理解を助けるための演習問題や参考文献を講義中に挙げていく.
【授業計画・課題】
第1回 | はじめに---具体的な計算例 |
第2回 | 非特異曲線(族)上の(相対)射影構造と(相対)フックス型射影接続 |
第3回 | 点付き射影直線の退化,点付き安定有理曲線のモジュライ空間と普遍族 |
第4回 | 特異曲線(族)上の(相対)双対化層とその自己テンソル積の順像 |
第5回 | 特異曲線(族)上の(相対)射影構造と(相対)フックス型射影接続 |
第6回 | 相対シュワルツ微分とある2階線形偏微分方程式の完全基底 |
第7回 | 4点付き安定有理曲線上のフックス型射影接続のモジュライ空間 |
第8回 | 今後の展望 |
課題は講義中に指示する
【教科書】
指定なし
【参考書、講義資料等】
手法や設定は大きく異なるが,下記の二つの文献は参考になる.
Mochizuki, Shinichi, A theory of ordinary p-adic curves, Publ. Res. Inst. Math. Sci. 32 (1996), 957--1152.
Mochizuki, Shinihci, Foundations of p-adic Teichmuller theory, AMS/IP Studies in Advanced Mathematics 11, American Mathematical Society; International Press, 1999.
線形微分方程式の完全基底については,下記の文献を参照されたい.
Gann, Sebastian and Hauser, Herwig, Perfect bases for differential equations, J. Symbolic Comput. 40 (2005), 979--997.
【成績評価の基準及び方法】
成績評価は講義中に出題される演習問題に関するレポートによって行う.
【関連する科目】
特になし
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
履修の条件を設けない
【その他】
2016年度に大学院に入学した学生は、この科目を教職科目として使うことはできません。
本年度の履修登録に当たっては十分に注意をして下さい。