講義名 解析学特論F(Advanced topics in Analysis F  科目コード:MTH.C502
開講学期 2Q 単位数 1--0--0
担当 川平 友規 准教授:本館2階210号室(内線2212)



 「ベルトラミ方程式」とは,(1次元)複素構造の変形度合いを「ベルトラミ係数」として指定し,それを実現するような同相写像を求めるための偏微分方程 式である.「ベルトラミ係数」のノルムが1より真に小さいとき,その同相解は「擬等角写像」とよばれるものになっており,タイヒミュラー理論,クライン群 論,複素力学系理論などで欠かせない道具となっている.本講義ではまず「ベルトラミ方程式」の種々の解法について概説する.さらに,複素力学系理論につい て概説し,「擬等角写像」の著しい応用の数々を紹介する.本講義は、直前のクォーターで行われる「解析学特論E」と合わせて完結するものである.
 本講義の目標は,ベルトラミ方程式・擬等角写像の複素力学系への応用を学ぶことである.

【到達目標】
・複素力学系理論の基礎事項を身につける.
・擬等角摂動・擬等角手術の原理を理解する.

【キーワード】
ベルトラミ係数,ベルトラミ方程式,擬等角写像,複素力学系,ジュリア集合,ファトウ集合

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う.適宜レポート課題を出す.

【授業計画・課題】

第1回 複素力学系の安定領域の分類
第2回 ファトウ-宍倉の不等式 1
第3回 ファトウ-宍倉の不等式 2
第4回 多項式類似写像とstraightening
第5回 サリバンの非遊走領域定理 1
第6回 サリバンの非遊走領域定理 2
第7回 ダビド級退化ベルトラミ方程式
第8回 放物的手術(ダビド級退化ベルトラミ方程式の応用)


課題は講義中に指示する

【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
Ahlfors, "Lectures on Quasifoncormal mappings", AMS:邦訳あり
Carleson-Gamelin, "Complex Dynamics", Springer
Beardon, "Complex Dynamics", Springer

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題(100%)

【関連する科目】
MTH.C501 : 解析学特論E

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
特になし

【その他】
2016年度に大学院に入学した学生は、この科目を教職科目として使うことはできません。
本年度の履修登録に当たっては十分に注意をして下さい。