講義名 位相幾何学(Topology) 科目コード:MTH.B341
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 遠藤 久顕 教授:本館2階204号室(内線2208)
【講義の概要とねらい】
本講義の主な題材は、ホモロジー群および基本群に関する基本的な諸概念である。ホモトピーや変位レトラクションといった概念を紹介した後、単体、単体複
体、単体写像、重心細分、単体近似などの単体複体に関連する基本的な概念を解説する。次に、単体複体の鎖群とホモロジー群や単体写像の誘導準同型を導入
し、ホモロジー群のホモトピー不変性を証明する。最後に、位相空間の基本群を定義し、Seifert-van Kampenの定理を述べる。
ホモロジー群と基本群は位相幾何学における最も基本的な概念であり、位相不変量の典型的な例でもある。本講義では、ホモロジー群と基本群を通して、不変量やその関手性について学ぶ。
【到達目標】
・与えられた単体の集合が単体複体であるかどうか、判定できるようになること
・単体近似定理の正確な内容と意義を理解すること
・与えられた単体複体のホモロジー群が計算できるようになること
・簡単な位相空間の基本群が計算できるようになること
【キーワード】
ホモトピー、変位レトラクト、単体複体、単体写像、単体近似、鎖群、境界準同型、ホモロジー群、誘導準同型、Euler数、Mayer-Vietoris完全系列、ホモトピー不変性、ループ、基本群、Seifert-van Kampenの定理
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式による授業を行う。
【授業計画・課題】
第1回 | あらまし、積空間、商空間、ホモトピー |
第2回 | ホモトピー同値、変位レトラクト、可縮、単体、面、重心座標 |
第3回 | 単体複体、部分複体、多面体、単体分割、抽象単体複体 |
第4回 | 幾何学的実現、単体写像、同型、重心、可接合、結 |
第5回 | 重心細分、開星状体、単体近似、Lebesgueの補題 |
第6回 | 単体近似定理、向き、鎖群、境界準同型 |
第7回 | 輪体、境界輪体、ホモロジー群、Betti数、Euler数 |
第8回 | Euler-Poincareの公式、錘複体、非輪状、ホモロジー群の計算 |
第9回 | 鎖写像、ホモロジー群の間の誘導準同型、関手性 |
第10回 | 連結準同型、Mayer-Vietoris完全系列 |
第11回 | 積複体、鎖ホモトープ、ホモロジー群のホモトピー不変性(1) |
第12回 | ホモロジー群のホモトピー不変性(2)、ホモロジー群の応用 |
第13回 | 道、ループ、道の積、逆の道、基本群 |
第14回 | 誘導準同型、基点の取り替え、基本群のホモトピー不変性 |
第15回 | 群の自由積、Seifert-van Kampenの定理 |
課題は講義中に指示する
【教科書】
田村一郎「トポロジー」岩波書店
【参考書、講義資料等】
菅原正博「位相幾何学」培風館
中岡稔「位相幾何学 ホモロジー論」共立出版
【成績評価の基準及び方法】
期末試験(70%), 問題演習(30%).
【関連する科目】
MTH.B301 : 幾何学第一
MTH.B302 : 幾何学第二
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「位相空間論第一(MTH.B201)」、「位相空間論第二(MTH.B202)」、「位相空間論第三(MTH.B203)」、「位相空間論第四(MTH.B204)」、「代数学概論第一(MTH.A201)」、「代数学概論第二(MTH.A202)」、「代数学概論第三(MTH.A203)」、「代数学概論第四(MTH.A204)」を
履修済みであることが望ましい。