講義名 確率論(Probability Theory) 科目コード:MTH.C361
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 桒田 和正 准教授: 本館3階334B号室(内線2204)
【講義の概要とねらい】
本講義では,測度論的確率論の諸概念を導入し,その枠組みで基本的な極限定理を取り扱う.まず,確率論全般の基礎となる諸概念の定義と基本的な性質を論じ
る.具体的には,確率空間,確率測度,確率変数とその分布,期待値,独立性等を扱う.これらを礎として,最も基本的な極限定理である大数の法則および中心
極限定理を定式化し,証明する.
Kolmogorovによる測度論を用いた確率論の公理化により,それまでにも実社会および諸科学で広く利用され
てきた確率の概念が,数学的に厳密な基礎を持つことになった.特に無限に関する議論を正確に展開することが可能になり,各種極限定理の意味するところを正
確に述べられるようになった.本講義を通じて,従来直感的に扱ってきた確率論の諸概念・諸定理および種々の確率計算がどのように定式化され,いかなる性質
を持つのか明らかにする.
【到達目標】
・測度論に基づく確率論の議論を追えるようになること.
・与えられた分布に対して,対応する確率変数の期待値や分散,特性関数等の特性量が計算できるようになること.
・確率変数列および確率分布列の収束について,その定義と性質を把握し,基本的な例を説明できるようになること.
・大数の法則や中心極限定理をどう定式化するのか,厳密に説明できるようになること.
・上記の極限定理の証明のあらすじを説明できるようになること.
【キーワード】
確率空間,確率測度,確率変数,確率分布,期待値,独立性,概収束,確率収束,Borel-Cantelliの補題,大数の法則,分布収束,特性関数,中心極限定理
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式.
【授業計画・課題】
第1回 | 確率空間,確率測度 |
第2回 | 確率変数とその分布,期待値 |
第3回 | 期待値の変数変換公式, 基本的な分布の例 |
第4回 | 独立性とその基本的な性質,結合分布と周辺分布 |
第5回 | 独立性と分布,独立性と期待値,独立同分布確率変数列の構成 |
第6回 | 確率変数列の種々の収束概念 |
第7回 | 確率変数列の収束の例,大数の弱法則 |
第8回 | Borel-Cantelliの補題,大数の強法則 |
第9回 | 大数の強法則の証明 |
第10回 | 大数の強法則の応用, 確率測度の収束 |
第11回 | 確率変数列の分布収束 |
第12回 | 特性関数の基本的な性質,特性関数の例 |
第13回 | 特性関数と分布 |
第14回 | 中心極限定理 |
第15回 | 確率過程の基礎 |
課題は講義中に指示する
【教科書】
特になし
【参考書、講義資料等】
「測度と確率」 小谷眞一著 (岩波書店)
「確率論」 舟木直久著 (朝倉書店)
「確率論」 西尾真喜子著 (実教出版)
【成績評価の基準及び方法】
期末試験(およそ60%)およびレポート(およそ40%).
【関連する科目】
MTH.C211 : 応用解析序論第一
MTH.C212 : 応用解析序論第二
MTH.C305 : 実解析第一
MTH.C306 : 実解析第二
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「応用解析序論第一」,「応用解析序論第二」,「実解析第一」,「実解析第二」を履修済みであることが望ましい.