講義名 位相幾何学(Topology)
開講学期 5学期 単位数 2--0--0
担当 村上 斉 准教授:本館3階319号室(内線3387)
【講義の目的】
位相幾何学,特にホモロジー論の基礎およびその応用について講義します.
ホモロジー論は図形や位相空間の大局的性質を代数的量(可換群)により記述するもので,
古典的によく知られたオイラー標数などの不変量をずっと精密に体系化したものと言えます.
【講義計画】
単体的複体を使ってオイラー標数,単体的ホモロジー群を定義し,それらの位相不変性を証明します.
また,マイヤー・ビートリス完全系列を用いた計算方法についても説明します.
時間があれば基本群についても述べます.
【教科書・参考書等】
トポロジー入門(サイエンス社) (著者:田中 利史,村上 斉)を元に講義を進めます.
講義の概要はOCWでも公開します.
【関連科目・履修の条件等】
線型代数,集合と位相,および代数学概論の初歩(特に可換群論)の知識を仮定します.
【成績評価】
毎時レポートを課します.
レポートの得点と中間試験・期末試験を総合して評価します.
【担当教員から一言】
ホモロジー群という概念は,図形を組み合わせ的に研究する手段で,起源は19世紀の素朴な考えの中に
見出されます.20世紀に入って位相幾何学の基本的な手段として整備され,その後数学の広範囲な分野に
浸透しています.また,オイラー標数はホモロジー群の次元から計算できる整数ですが,逆に,整数のように
簡単な構造を持つものに値を持つ不変量を,群のように複雑な構造を持つものに値を持つ不変量に精密化
する手法(圏化)が21世紀にはいってから盛んに研究されています.