講義名 数学最先端特別講義A(Special lectures on advanced topics in Mathematics A) 科目コード:MTH.E631
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 水野 義紀 名古屋工業大学工学専攻 教授
【授業の目的(ねらい)、概要】
ヤコビ形式の基礎事項を講義する。ヤコビ形式というのは、楕円関数とモジュラー形式を併せたような2変数の正則関数である。それ自身も興味深い対象であるし、一方では道具としての側面が大切である。特に、次数2のモジュラー形式や半整数重さのモジュラー形式と深い関係があり、これらを研究するために用いられている。特にヤコビ形式を仲介とした斎藤・黒川予想の証明は圧巻である。アイヒラーとザギエの教科書に沿って、その基礎事項を概観する。各自の研究において類するものが現れたとき、役立てることができるようにしたい。
アイヒラーとザギエの教科書はヤコビ形式の基礎的文献である。高度な概念は用いられておらず、地に足の着いた計算により話は進む。自力では思いつかないものも多いのであるが、ひとまず計算を追うことで計算の面白さを追体験し、各自の計算力の涵養のきっかけにしたい。こういう数学もあることが伝わればと思う。
【到達目標】
・ヤコビ形式の基礎事項を習得する。
・ヤコビ形式の有用性を理解する。
・具体的な計算が実行できるようになる。
【キーワード】
ヤコビ形式、ヤコビ・アイゼンシュタイン級数、ヘッケ作用素、モジュラー形式との関係
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.
【授業計画・課題】
| 第1回 |
・ヤコビ形式とヤコビ群 ・アイゼンシュタイン級数とカスプ形式 ・テイラー展開 ・ヘッケ作用素 ・半整数重さのモジュラー形式との関係 ・ジーゲルモジュラー形式との関係 ・ヤコビテータ級数とワルズプルジェの定理 |
課題は講義中に指示する.
【準備学修(事前学修・復習)等についての指示】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
【教科書】
使用しない.
【参考書、講義資料等】
(1) M. Eichler-D. Zagier, The theory of Jacobi forms, Birkhauser (1985)
(2) 伊吹山知義, 保型形式特論, 共立出版 (2018)
【成績評価の方法及び基準】
レポート課題(100%)による.
【関連する科目】
MTH.A301 : 代数学第一
MTH.A302 : 代数学第二
MTH.A331 : 代数学特論
【履修の条件・注意事項】
特になし.