講義名 数学特別講義L(Special lectures on advanced topics in Mathematics L)  科目コード:MTH.E536
開講学期 3Q 単位数 2--0--0
担当 坂本 祥太
 九州大学大学院数理学研究院 准教授


【授業の目的(ねらい)、概要】
本講義では希薄気体の運動を記述する基礎方程式として知られるBoltzmann方程式の解析、特に非切断型と呼ばれる場合の解析について学習する。この方程式は数学的には非線形積分微分方程式であり、方程式に非線形性、積分作用素、偏微分作用素が含まれるため他の偏微分方程式と比較して特徴的な項が多くあらわれる。Boltzmann方程式の解析を行うためにはまずこれらの解析に必要な考え方や手法を学ぶことが必要である。導入ではまずより古典的な切断型と呼ばれる場合の解析法を紹介し、引き続き非切断の場合の解析方法を対比しつつ教授する。
Boltzmann方程式の解析はそれ自身で閉じたものではなく、数理流体力学に現れる種々の方程式との関連を明らかにする流体力学極限の研究や、非局所な積分項を持つ抽象的方程式の研究とも相互に影響し発展している。そのような事柄に興味をもったときに、Boltzmann方程式、あるいはより広く運動論方程式の解析として基礎的な事柄を身に着ける。

【到達目標】
・Boltzmann方程式がどのような方程式か理解すること
・Boltzmann方程式の解の性質を理解すること
・Boltzmann方程式の線形項・非線形項を積分作用素として評価できるようになること
・切断・非切断Boltzmann方程式の解析においてどのような差異があるのかを知ること

【キーワード】
Boltzmann方程式、マクロ-ミクロ分解、hypocoercivity、cancellation lemma、正則化効果

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う。また、適宜レポート課題を出す.

【授業計画・課題】
第1回 以下の事柄について講義する:
1. Boltzmann方程式の導入
2. 切断Boltzmann方程式における定常解周りの初期値問題
3. 非切断Boltzmann方程式と正則化効果
4. 非切断Boltzmann方程式における定常解周りの初期値問題


課題は講義中に指示する

【準備学修(事前学修・復習)等についての指示】
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,授業内容に関する予習と復習(課題含む)を行うこと。

【教科書】
使用しない

【参考書、講義資料等】
講義中に適宜指示する

【成績評価の方法及び基準】
レポート課題 (100%) による。

【関連する科目】
MTH.C341 : 微分方程式概論第一
MTH.C342 : 微分方程式概論第二

【履修の条件・注意事項】
なし