講義名 数学特別講義F(Special lectures on advanced topics in Mathematics F  科目コード:MTH.E436
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 BEZ Richard Neal 非常勤講師(埼玉大学大学院理工学研究科/名古屋大学大学院多元数理科学研究科・教授)

【講義題目】
Brascamp-Lieb不等式について

【講義の概要とねらい】
 本講義の主要なテーマは, ユークリッド空間上のBrascamp-Lieb不等式である. まず, Holderの不等式, Youngの畳み込み不等式, Loomis-Whitney不等式などのいくつかの具体例を紹介し, L^p空間や線形作用素の補間定理についての準備も行う. その後, Liebの定理やJ. Bennett, A. Carbery, M. Christ, T. TaoによるBrascamp-Lieb定数の有限性の特徴づけなど, Brascamp-Lieb不等式の一般理論について説明する. 一般理論の一部として, 幾何学的Brascamp-Lieb不等式の熱流による証明を学ぶ.

Brascamp-Lieb不等式は, ここ数年内に凸幾何学, 調和解析, 幾何学的測度論, 数論などの数学分野に大きな影響を与えたものであるが, この授業科目の主な目標はBrascamp-Lieb不等式の基礎理論を深く理解することである.

【到達目標】
・Brascamp-Lieb不等式の具体例を扱えるようになること
・Brascamp-Lieb不等式の一般理論を理解すること
・幾何学的Brascamp-Lieb不等式の役割を理解すること
・熱流やBrascamp-Lieb定数の因数分解を使用してLiebの定理を証明する方法を理解すること
・Bennett-Carbery-Christ-TaoによるBrascamp-Lieb定数の有限性の特徴づけを証明する方法を理解すること

【キーワード】
多重線形不等式, Holderの不等式, Youngの畳み込み不等式, Loomis-Whitney不等式, Brascamp-Lieb不等式, 熱流

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う.また、適宜レポート課題を出す.

【授業計画・課題】

 第1回 以下の内容を順に解説する予定である :

・L^p空間と補間定理
・Holderの不等式
・Youngの畳み込み不等式
・Loomis-Whitney不等式
・Brascamp-Lieb不等式
・Liebの定理
・Bennett-Carbery-Christ-Taoによる有限性の特徴づけ
・幾何学的Brascamp-Lieb不等式
・熱流
・熱流による幾何学的Brascamp-Lieb不等式の証明
・Bennett-Carbery-Christ-TaoによるLiebの定理の証明
・Bennett-Carbery-Christ-Taoによる有限性の特徴づけの証明


課題は講義中に指示する

【教科書】
使用しない

【参考書、講義資料等】
J. Bennett, A. Carbery, M. Christ, T. Tao, The Brascamp-Lieb inequalities: finiteness, structure and extremals, Geometric and Functional Analysis, Vol. 17 (2008), pp. 1343-1415
(arXivバージョン: https://arxiv.org/abs/math/0505065)

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題(100%)による.

【関連する科目】
MTH.C351 : 函数解析
MTH.C305 : 実解析第一
MTH.C306 : 実解析第二
MTH.C341 : 微分方程式概論第一
MTH.C342 : 微分方程式概論第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
なし