講義名 数学特殊講義D(Special courses on advanced topics in Mathematics D  科目コード:ZUA.E334

開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 野崎 雄太  非常勤講師(横浜国立大学大学院環境情報研究院・講師)


【講義題目】
量子トポロジーと LMO 関手

【講義の概要とねらい】
 本講義の主題は,ホモロジーシリンダーのなす群の構造を理解することである.ホモロジーシリンダーはある種の境界付き3次元多様体であり,曲面の写像類群やその部分群である Torelli 群と深く関係する.さらに4次元多様体を用いて定義されるホモロジー同境群とも関わる.これらを調べる手法として,Cheptea, 葉廣, Massuyeau によって導入された LMO 関手を紹介し,その性質や応用について学ぶ.

 ホモロジーシリンダーが低次元トポロジーの様々な研究対象と関係があることは上述のとおりである.本講義では,これらの関係を通して,低次元トポロジーの重要な話題や基本的な研究手法を学ぶ.たとえば,絡み目に沿った Dehn 手術やその特別な場合であるクラスパー手術は基本的かつ多くの応用を持つ.また LMO 関手に関しては,簡単な計算例に触れることにより,確実な理解につなげる.

【到達目標】
・絡み目に沿った Dehn 手術を扱えるようになること.
・Torelli 群とホモロジーシリンダーの関係を理解すること.
・Kontsevich 不変量や LMO 関手の低次の計算をできるようになること.
・LMO 関手とクラスパー手術の関係を理解すること.
・ホモロジーシリンダーのなす群について,低次の部分を理解すること.

【キーワード】
量子トポロジー,写像類群,結び目,ホモロジー同境群,Kontsevich 不変量,LMO 関手,クラスパー手術

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.

【授業計画・課題】

第1回 以下の内容を順に解説する予定である.

・ホモロジーシリンダーと写像類群
・Torelli 群の降中心列と次数商
・コボルディズムのなす圏とタングルのなす圏
・Jacobi 図と Kontsevich 不変量
・LMO 関手とクラスパー手術
・LMO 関手から誘導される準同型写像
・ホモロジーシリンダーに関わる群の構造


課題は講義中に指示する

【教科書】
使用しない

【参考書、講義資料等】
T. Ohtsuki, Quantum invariants: a study of knots, 3-manifolds, and their sets, Series on Knots and Everything 29, World Sci., River Edge, NJ (2002)

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題(100%)による

【関連する科目】
MTH.B301 : 幾何学第一
MTH.B302 : 幾何学第二
MTH.B331 : 幾何学続論

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「関連する科目」の内容をよく理解していることが期待される