講義名 数学最先端特別講義J(Special lectures on current topics in Mathematics J) 科目コード:MTH.E640
開講学期 2Q 単位数 2--0--0
担当 作間 誠 広島大学 名誉教授
【講義題目】
Farey多様体の位相と幾何
【講義の概要とねらい】
本講義の主題は3次元多様体の位相と幾何である。前半では、トーラスと Fareyタイル貼りの関係を説明した後、円周上の(一点穴あき)トーラス束及び2橋絡み目の位相的分類定理を Fareyタイル貼りの観点から説明する。後半では、双曲幾何の基礎事項を説明した後、一点穴あきトーラス束及び2橋絡み目補空間の双曲構造及びその標準的分割の具体的構成法を概説する。一点穴あきトーラス束及び2橋絡み目という特殊ではあるが重要な対象を通して、3次元多様体の位相と幾何の密接な結びつきを紹介することが本講義の目標である。
【到達目標】
・Fareyタイル貼りおよびそのトーラスとの関係を理解すること
・2橋結び目および穴あきトーラス束の分類定理を理解すること
・双曲幾何の基礎事項を理解すること
・2橋結び目および穴あきトーラス束を通して、3次元における位相と幾何の密接な関係の一端を理解すること。
【キーワード】
結び目理論、双曲幾何、2橋絡み目、穴あきトーラス束、Fareyタイル貼り
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式で行う. また, 適宜レポート課題を出す.
【授業計画・課題】
第1回 | 以下の内容を解説する予定である ・(一点穴あき)トーラスとFareyタイル貼り ・Fareyタイル貼りから見た(一点穴あき)トーラス束の分類定理 ・Fareyタイル貼りから見た2橋絡み目の分類定理 ・穴あきトーラス束のJorgensen-Floyd-Hatcher分解、及び2橋絡み目補空間に対する類似 ・双曲幾何の基礎事項 ・カスプ付き双曲多様体のEpstein-Penner分解 ・穴あきトーラスクライン群に関するJorgensen の研究とその拡張 |
課題は講義中に指示する
【授業時間外学修(予習・復習等】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと.
【教科書】
使用しない
【参考書、講義資料等】
J. S. Purcell, Hyperbolic knot theory, Graduate Studies in Mathematics 209, American Mathematical Society, Providence, RI, 2020.
H. Akiyoshi, M. Sakuma, M. Wada, and Y. Yamashita, Punctured torus groups and 2-bridge knot groups (I), Lecture Notes in Mathematics 1909, Springer, Berlin, 2007.
【成績評価の基準及び方法】
レポート課題 (100%) による.
【関連する科目】
MTH.B301 : 幾何学第一
MTH.B302 : 幾何学第二
MTH.B331 : 幾何学続論
MTH.B341 : 位相幾何学
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
多様体論の基礎的な知識を有すること。