講義名 数学特殊講義J(Special courses on advanced topics in Mathematics J) 科目コード:ZUA.E344
開講学期 3Q 単位数 2--0--0
担当 久野 雄介 津田塾大学学芸学部 准教授
【講義題目】
曲面の写像類群とゴールドマン・トュラエフ・リー双代数
【講義の概要とねらい】
ゴールドマン・リー代数と呼ばれる、向きづけられた曲面に付随する(無限次元)リー代数について述べる。このリー代数は曲面上の曲線の交叉を用いて記述され、低次元トポロジーの対象といって良いものであるが、その背景には曲面上の平坦束のモジュライ空間という幾何的なものがある。
本講義では、ゴールドマン・リー代数の定義について周辺事項と共に説明した後に、次の二つのテーマを解説する。
(1)デーンツイストと呼ばれる曲面の自己微分同相写像のゴールドマン・リー代数を用いた記述。
(2)ゴールドマン括弧積(およびトュラエフ余括弧積)の形式性と呼ばれる性質。
曲面上の曲線たちの交叉の様子から興味深い代数的構造が抽出され、それを用いて曲面上の自己微分同相写像や曲面の写像類群を調べられることを説明したい。
【到達目標】
・ゴールドマン・リー代数の定義を理解すること。
・デーンツイストの対数の記述を理解すること。
・シンプレクティック展開の定義を理解すること。
・トュラエフ余括弧積の定義を理解すること。
・ゴールドマン括弧積とトュラエフ余括弧積の形式性を理解すること。
【キーワード】
ゴールドマン括弧積、トュラエフ余括弧積、デーンツイスト、曲面の写像類群
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式で行う. また, 適宜レポート課題を出す.
【授業計画・課題】
第1回 | 以下の内容について講義する予定である。 ・曲面の基本群とホモロジー群 ・有限階数自由群の降中心列と付随するリー代数 ・ゴールドマン括弧積 ・デーンツイストの対数の記述 ・一般デーンツイスト ・シンプレクティック展開 ・トュラエフ余括弧積 ・ゴールドマン括弧積とトュラエフ余括弧積の形式性 |
課題は講義中に指示する
【授業時間外学修(予習・復習等】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと.
【教科書】
使用しない.
【参考書、講義資料等】
使用しない
【成績評価の基準及び方法】
レポート課題 (100%) による.
【関連する科目】
MTH.B301 : 幾何学第一
MTH.B302 : 幾何学第二
MTH.B331 : 幾何学続論
MTH.B341 : 位相幾何学
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
多様体論の基礎的な知識を有すること。