講義名 数学特別講義Q(Special lectures on advanced topics in Mathematics Q) 科目コード:MTH.E440
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 篠崎 裕司 SMBC日興証券
【講義の概要とねらい】
金融危機後の数理ファイナンス :入門から最先端まで
【講義の概要とねらい】
本講義では, 実社会で活用されている数理/計算ファイナンスの具体的な例を挙げた上で, それらの背後にある理論を解説する.「理論と実用の距離が近い」という当分野の特徴を踏まえ,
通常の数学講義とは逆の順序で, まず活用例を紹介し(適宜演習を交える)その後理論背景を解説することで, 将来金融機関でデリバティブに関わるクオンツとして働くことを希望する学生が実務に入りやすくなる助けとすると共に,
数学を研究する学生に金融の現場での種々の数理的課題を紹介することを目的とする.
講義内容は, 参加者の希望に応じて変動するが, 以下のようなトピックを想定している:
1. 金融商品の価格付の基礎 (金融商品・デリバティブとは、二項モデル、ブラックショールズモデル)
2. 伊藤解析と数理ファイナンスの基礎 (伊藤解析の基本的な結果と、それによる無裁定・複製による価格付理論の紹介)
3. 数理ファイナンスの現場に金融の現場における活用例 (モデルの分類と実務上の価格付の工程、金利期間構造モデル、Volatility smile等)
4. 計算ファイナンスの諸問題 (モンテカルロシミュレーション / 確率微分方程式の離散近似 / 有限差分法)
計算機を用いた課題を多く出す想定である. 確率論の基本的な予備知識は仮定するが, 確率微分方程式や数理ファイナンスの予備知識は仮定しない.
【到達目標】
・確率論や数理ファイナンスが金融の現場でどう使われているか知ること
・数理ファイナンスの最先端の話題を自らの力で調査できるようになること
・普段研究している数学と実社会の繋がりの一端を感じること
【実務経験と講義内容との関連】
担当教員は金融機関において数理ファイナンスを用いる実務と研究に携わっている.
銀行・証券会社でデリバティブクオンツとして携わってきた実務経験の中から, 実務経験のない学生にも馴染み易く数理ファイナンスの理論が本質的に活かされている実例を多く挙げる.
【キーワード】
無裁定理論, 複製理論, HJMモデル, OIS割引, マルチカーブ, 確率偏微分方程式, XVA, 前進後退確率微分方程式
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式で行う. また, 適宜レポート課題を出す.
【授業計画・課題】
第1回 | 金融商品の価格付の基礎 |
第2回 | 二項モデル |
第3回 | ブラック・ショールズ モデル |
第4回 | ボラティリティ・スマイル |
第5回 | モンテカルロシミュレーション/確率微分方程式の離散近似 |
課題は講義中に指示する.
【教科書】
講義中に紹介する.
【参考書、講義資料等】
講義中に紹介する.
【成績評価の基準及び方法】
レポート課題(100%)による.
【関連する科目】
MTH.C361 : 確率論
MTH.C503 : 解析学特論G
MTH.C504 : 解析学特論H
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
特になし