講義名 数学最先端特別講義E(Special lectures on current topics in Mathematics E科目コード:MTH.E635
開講学期 2Q 単位数 2--0--0
担当 山田 澄生 学習院大学理学部教授


【講義タイトル】
アインシュタイン方程式とリーマン幾何学

【講義の概要とねらい】
一般相対理論は、アインシュタイン方程式と呼ばれる非線形偏微分方程式系によって定式化される時空の構造を調べ ることを目的とする分野である。

本授業では、一般相対性理論に関連する微分幾何学の紹介を行う。アインシュタイン方程式の導出からちょうど100年経過した現在その理論は膨大な拡がりをもつが、本講義においては微分幾何学、とくにリーマン幾何学に関連する話題を適宜抽出してできるだけ簡潔に解説することを目標とする。

【到達目標】
アインシュタイン方程式をみたす4次元時空の幾何学的な構造について、微分幾何学および偏微分方程式の言葉を用 いて表現する手段を体得する。微分多様体の基本的な理解のもと、アインシュタイン計量を持つ4元ローレンツ多様体の特徴付けを行う。アインシュタイン方程式の静的解、定常解の幾何学的な解釈を通して、またアインシュタインにとって一般相対性理論の試金石となったマックスウェル方程式の理論を通して、アインシュタイン方程式のコーシー初期値問題としての定式化をおこなう。時空の大域的な振る舞いを表現するペンローズの理論の理解を目指す。

【キーワード】
アインシュタイン方程式、変分法、ローレンツ幾何学、双曲型偏微分方程式系のコーシー問題、ハミルトニアン形式

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式による講義を行う。また、適宜、レポート問題を出す。

【授業計画・課題】

第1回

以下の内容を順に解説する予定である.

- ミンコフスキー空間とマックスウェル方程式
- コーシー問題としてのマックスウェル方程式
- レビ・チビタ接続と測地線
- アインシュタイン方程式の導出
- ポスト・ニュートン近似
- コーシー問題としてのアインシュタイン方程式
- シュバルツシルト時空の幾何学
- 正質量定理とペンローズ予想


課題は講義中に指示する

【教科書】
使用しない

【参考書、講義資料等】
Noel Hicks, Notes on Differential Geometry Robert Wald, Introduction to General Relativity P. ディラック, 一般相対性理論 佐々木節,一般相対論

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題 (100%) による。

【関連する科目】
なし

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
特になし