講義名 数学最先端特別講義R(Special lectures on current topics in Mathematics R) 科目コード:MTH.E647
開講学期 1Q 単位数 2--0--0
担当 高坂 良史 神戸大学大学院海事科学研究科准教授
【講義題目】
平均曲率流による3相境界運動に対する時間局所可解性
【講義の概要とねらい】
本講義の主要なテーマは、非線形偏微分方程式の解析法を基にした幾何学的発展方程式の解析である。幾何学的発展方程式としては平均曲率流を解析の対象とし、平均曲率流によって動く3つの超曲面が互いに交わる場合を考える。まずは平均曲率の表示方法を学び、それを用いて上記の設定における平均曲率流の問題から連立系の非線形放物型偏微分方程式の初期値・境界値問題を導出する。得られた非線形放物型偏微分方程式の初期値・境界値問題に対して、非線形偏微分方程式の解析法を適用し、時間局所解の存在を明らかにする。
本講義では、上記の題材を通して、超曲面に対する幾何学的な量の導出方法と連立系の非線形放物型偏微分方程式の時間局所解の存在の証明方法について学ぶ。
【到達目標】
・与えられた超曲面に対して、平均曲率を導出することができる.
・非線形問題の線形化と得られた線形化問題の解析方法について理解できる.
・不動点定理を用いた非線形問題の時間局所解の存在証明について理解できる.
【キーワード】
超曲面、平均曲率、放物型偏微分方程式、不動点定理
【学生が身につける力】
専門力
【授業の進め方】
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.
【授業計画・課題】
第1回 | 平均曲率流と超曲面の平均曲率の導出法(I) |
第2回 | 平均曲率流と超曲面の平均曲率の導出法(II) |
第3回 | 平均曲率流と超曲面の平均曲率の導出法(III) |
第4回 | 平均曲率流と超曲面の平均曲率の導出法(IV) |
第5回 | 非線形放物型偏微分方程式の初期値・境界値問題の導出とその線形化(I) |
第6回 | 非線形放物型偏微分方程式の初期値・境界値問題の導出とその線形化(II) |
第7回 | 非線形放物型偏微分方程式の初期値・境界値問題の導出とその線形化(III) |
第8回 | 非線形放物型偏微分方程式の初期値・境界値問題の導出とその線形化(IV) |
第9回 | 線形化問題の解析(I) |
第10回 | 線形化問題の解析(II) |
第11回 | 線形化問題の解析(III) |
第12回 | 不動点定理を用いた非線形問題の時間局所解の存在証明 (I) |
第13回 | 不動点定理を用いた非線形問題の時間局所解の存在証明 (II) |
第14回 | 不動点定理を用いた非線形問題の時間局所解の存在証明 (III) |
第15回 | 不動点定理を用いた非線形問題の時間局所解の存在証明 (IV) |
課題は講義中に指示する
【教科書】
特に指定しない
【参考書、講義資料等】
「Partial Differential Equations」 L. C. Evans, AMS
「Parabolic Boundary Value Problems」 S. D. Eidelman, N. Z. Zhitarashu, Birkhauser
【成績評価の基準及び方法】
期末試験の点数、および宿題の提出状況により評価する。詳細は講義中に指示する.
【関連する科目】
MTH.C341 : 微分方程式概論第一
MTH.C342 : 微分方程式概論第二
【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「微分方程式概論第一」、「微分方程式概論第二」が履修済みであることが望ましい。