講義名 数学特殊講義M(Special courses on advanced topics in Mathematics M  科目コード:ZUA.E337
開講学期 2Q 単位数 2--0--0
担当 前野 俊昭 名城大学大学院理工学研究科数学専攻准教授


【講義の概要とねらい】
 本講義の主要なテーマは、量子コホモロジー環の理論である。本講義では、安定写像のモジュライ空間から始めて、Gromov-Witten 不変量の構成の概要を整理し、その基本的な性質を紹介する。さらに、J-関数を通じて量子コホモロジー環の構造と可積分系の関係を論じる。また、時間があ れば、量子 K-理論等の話題についても触れる。
 20 世紀末の素粒子論における位相的場の理論の発展は、古典的な数え上げ代数幾何学への新しいアプローチをもたらし、それは現在では Gromov-Witten 理論あるいは量子コホモロジー理論として知られている。量子コホモロジー環の理論は主にミラー対称性の解明に必要な概念として 90 年代前半に完成され、その後も場の理論の幾何学において重要な役割を果たしている。本講義では、J-関数を通じて量子コホモロジー環の構造と可積分系の関 係を論じる。
特に、量子コホモロジー環の具体例として旗多様体の量子コホモロジー環を取り上げ、その戸田系との関係について理解する事を目標とする。

【到達目標】
本講義を履修する事により、以下の知識と能力を習得する。
・Gromov-Witten 不変量の構成について理解する。
・量子コホモロジー環の構成について理解する。
・量子コホモロジー環の具体例を知る。

【キーワード】
モジュライ空間、交叉理論、量子コホモロジー環、旗多様体

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式による講義を行う。また、適宜、レポート問題を出す。

【授業計画・課題】

第1回 安定写像のモジュライ空間 I
第2回 安定写像のモジュライ空間 II
第3回 安定写像のモジュライ空間 III
第4回 Gromov-Witten 不変量 I
第5回 Gromov-Witten 不変量 II
第6回 Gromov-Witten 不変量 III
第7回 WDVV 方程式と量子コホモロジー環 I
第8回 WDVV 方程式と量子コホモロジー環 II
第9回 WDVV 方程式と量子コホモロジー環 III
第10回 J-関数 I
第11回 J-関数 II
第12回 J-関数 III
第13回 旗多様体の量子コホモロジー環 I
第14回 旗多様体の量子コホモロジー環 II
第15回 旗多様体の量子コホモロジー環 III


課題は講義中に指示する

【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
講義資料は、講義中に配布する。

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題 (100%) による。

【関連する科目】
MTH.A301 : 代数学第一
MTH.A302 : 代数学第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
履修の条件は特に設けないが、関連する科目を履修している事が望ましい。