講義名 数学特別講義F第二Special Lectures F II
開講学期 後学期 単位数 2--0--0
担当 辻井 正人 非常勤講師(九州大学大学院数理学研究院 教授)


【講義の目的】
測地流はリーマン多様体上の自由粒子の運動を記述する流れであるが,
特に負曲率多様体上の測地流はカオス的な流れの代表的な例として,
1930年代のE.Hopfの研究以来よく研究されて来た.
この講義の前半では負曲率多様体上の測地流を題材に,
エルゴード理論への入門的な講義を行う.
後半はより現代的な話題として,力学系のゼータ関数や転移作用素の
スペクトルの解析についての話題を取り扱う.
具体的には以下の計画の内容から取捨選択して講義を行う.


【講義計画】
1.測地流の定義と双曲性
2.測地流のエルゴード性と混合性
3.転移作用素の擬コンパクト性と相関の指数的減衰
4.力学系のゼータ関数
5.量子カオスの諸問題との関係


【教科書・参考書等】
教科書は特にない.参考文献は講義中に与える.

【関連科目・履修の条件等】
力学系,リーマン幾何学,確率論(測度論),関数解析についての初歩的な知識が
あるとわかりやすいと思うが,特に必要ではない.


【成績評価】
レポート(具体的には講義中に指示する)と講義中の質問

【担当教員から一言】
わからないことは遠慮なく質問をして欲しい.