日本の文化芸術を語るとき、 禅の影響を抜きには語れない。
先にも触れたが日本文化の多くは 「道」 が付くが、 この
「道」 の付くものは禅から何らかの影響を受けて成り立っていると考えてよい。

禅は中国で確立されたが、
日本で起こったように文化芸術面において花を咲かせることはなかった。
思想的には中国で最高を極めたが、
文化芸術面においては日本で最高の発達を遂げ、 禅文化、禅芸術というものを確立した。
これらの禅に関する文化芸術に共通していえることは、
「存在相を瞬間的に見極める力」 を身に着け、 その力を自由に発揮して活動すること
である。


( 桝野俊明 『禅と禅芸術としての庭』 ( 毎日新聞社 ) p.132 )