第一条
およそ役人たらんとする者は、
万事につきなるべく広くかつ浅き理解を得ることに努むべく、
狭隘なる特殊の事柄に特別の興味をいだきて
これに注意を集中するがごときことなきを要す。

第二条
およそ役人たらんとする者は
法規を盾にとりて形式的理屈をいう技術を修得することを要す。

第三条
およそ役人たらんとする者は
平素より縄張り根性の涵養に努むることを要す。


( 末弘厳太郎 『役人学三則』 (岩波現代文庫) より )