「色は匂へど散りぬるを 我が世たれぞ常ならむ
有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ醉ひもせず」 と。

これは、仏教の無常観を歌った今様歌で、
平安朝初期よりも後の成立と推定されています。
俗説によると、弘法大師の作であるといいます。
立派なすぐれたものは、みな弘法大師の作になってしまいますが、
ともかくこれは、民族の歌であるといえましょう。


( 中村 元 『仏典のことば』 ( 岩波現代文庫 ) p.3 )