ところで、最初は、政治的抗議行動としてスタートさせたハンスト・リレーでしたが、
参加の回数が増え、ハンストのやり方に慣れ、レギュラー・ベース化するにつれて、
思わぬ効果があることが判明しました。
それは、体重が目に見えて減り、健康にいいことが分かってきたことです。
毎週一回ハンストを行っている人で、平均4−5キロ、
毎週3回行っている代表の私の場合で15キロ以上体重が減りました。
しかも、健康状態は、ハンストを始める前よりずっと良好で、
体力も回復し、以前は上れなかった山道が平気で歩けるようになっています。
これは、ハンストを続けることで、食べるものが自然に菜食中心となり、
また食べる量や回数が減って、
身体内の新陳代謝と浄化がスムーズに行くようになったためと思われます。

ハンストを続けることのメリットはダイエット効果だけではありません。
発起人としてこの運動を立ち上げ、中核となってレギュラー・ベースでハンストに
参加してきた人間が、芸術的表現行為に関わる仕事をしているため、
ハンストを通してつながった人の輪をうまく生かして、
「非戦」をテーマにしたコンサートの開催やハンセン氏病オペラの創作・上演など
いくつか新しい芸術・文化的創造行為を生み出しえたことも、大きな成果といえるでしょう。

一方、食事を意志的に絶ち、日常的な時間の流れを断ち切ることで、
それまで予期しなかった新しい体験や思考を触発され、私たちの生や文化のあり方、
特に、テレビ・メディアに氾濫する飽食文化に象徴される精神的頽廃現象、
さらにもっと大きくいえば、欲望全開、快楽追及を是とする今日の世界文明のありかた
そのものについて、根本から考え直すきっかけを与えてくれたことも、
ハンストの大きなメリットといえます。


(「ガンジーの会」代表 末延芳晴 「一年間を振り返って」
自衛隊イラク派兵反対 ハンスト・リレー・マラソン より )