1年次の段階での数学の参考書をいくつか挙げておきます(更新2017/4/7)。
このリストは過去に1類の学生のために作成したものです。 線形代数学と微分積分学の参考書、 更に数学の専門書も紹介されています。 現在行っている講義と演習のためと言うよりも 自分で数学を勉強したい人のためのリストです。
このリストに挙がっている参考書に限らず、 図書や書店で実際に手に取って自分にあったものを選ぶとよいと思います。

[1年次数学の参考書]

[微分積分学の参考書]
  1. 田島一郎:『イプシロン-デルタ』(ワンポイント双書) 共立出版
    おそらく微分積分学でもっとも分かり難いのがε-δ論法でしょう。 それにはこれをお勧めします。
  2. 高木貞治:『解析概論』 岩波書店
    微分積分学の教科書の教科書的な存在です。 高木貞治は整数論の有名な数学者です。
  3. 杉浦・金子・岡本・清水:『解析演習』 東京大学出版会
    これは演習書です。例題の問題とも豊富です。 数学的事実の要約も上手に解説されてます。
  4. 吹田・新保:『理工系のための微分積分学』 学術図書出版社
    東工大でもっとも普通に使われている教科書です。 論証が簡潔かつ的確で、論理の切れ味が鋭いです。
  5. 小平邦彦:『解析入門』 岩波書店
    世評の高い教科書です。著者は代数幾何の有名な数学者です。
  6. 田島一郎:『解析入門』岩波全書
    分かり易いと評判の教科書です。
  7. ラング(松坂和夫訳):『解析入門』『続解析入門』岩波書店
  8. 斉藤毅: 『微積分』東京大学出版会
    今の微積の教科書に満足できないなら、 この教科書を勉強するとよいかもしれません。
[線形代数学の参考書]
  1. 斎藤正彦:『線型代数学入門』東京大学出版会
    これが線型代数学の標準的な教科書でしょう。
  2. 斎藤正彦:『線型代数学演習』東京大学出版会
    斎藤さんの本の演習書です。
  3. 永田:『理系のための線型代数の基礎』紀伊国屋書店
    数学的に正確かつ簡潔に解説されています。 ただ,説明が抽象的で難しいかもしれない。
  4. 佐武一郎:『線型代数学』裳華房
    非常によい本です。 しかし,大学の数学を一通り理解した上でないと読めないかもしれない。 この本をマスターしたら線型代数はもう卒業でしょう。
  5. 村上・佐藤・野澤・稲葉:『教養の線形代数』培風館
    東工大でもっともよく使われている線形代数の教科書です。 分かり易いですが、勉強が進むとこれでは不十分です。

[数学を勉強したい人のための参考書]

もう少し高度な勉強がしたい人に参考書を幾つか挙げておきます。 過去にある先生が数学科の先生達に募った1年生向けの推薦図書のリストがあり、 そこから引用しています。 また、代数学と幾何については私が過去に読んだり、 親しい先生から推薦のあったものを書き加えています。 私の専門が代数系のため偏りがありますが、お許しください。 1年次に読むには難しい教科書もあります。 図書館とかで実際に手に取って判断してください。

[数学史その他の読み物]
  1. 高木貞治:『近世数学史談』岩波文庫および共立出版
    19世紀から20世紀初頭に活躍した数学者の姿を熱く語っています。
  2. S.G. ギンディキン:『ガウスが切り開いた道』(三浦伸夫・小林俊行 訳)シュプリンガー東京
  3. 猪狩 編著:『数学ってなんだろう -- 現代数学入門講義集 --』日本評論社
    東北大学で高校生向けに開催された現代数学入門セミナーの講演録です。
  4. 和久井道久(著) 「大学数学ベーシックトレーニング」 日本評論社
    数学の勉強をするときの心掛けとかをまとめた本です。 私の周りの多数の先生が推薦しています。
  5. ヘルマン・ワイル:『数学と自然科学の哲学』岩波書店
[代数系]
  1. 加藤和也:『解決!フェルマーの最終定理』日本評論社
    フェルマーの最終定理と言う360年間解けなかった数論の難問を、 Wilesと言う数学者が1995年に解決しました。 その一般向けの解説書です。 加藤先生自身この難問に最も近かった数学者の一人です。
  2. 黒川信重:『数学の夢一素数からのひろがり』岩波書店
    本学数学科の先生が高校生向けに書いた入門書です。 黒川先生は他にも多くの本を書いています。
  3. 高木貞治:『初等整数論講義』共立出版
    整数論の初歩を丁寧に解説しています。 代数系の諸定理を理解する上の具体例にもなるはずです。
  4. E.アルティン:『ガロア理論入門』ちくま学芸文庫
    名著です。 2次方程式、3次方程式、4次方程式には解の公式が存在しますが、 5次以上の方程式に解の公式は存在しません。 その理由を探るのがガロア理論です。 1年の前期の線形代数が理解できているなら、 読めるはずと思います。 ガロア理論は数学科3年で扱います。
  5. 久賀道郎:『ガロアの夢』日本評論社
    ガロアは今日言うガロア理論の論文を発表して20歳で決闘で亡くなっています。 彼が友人に残した最後の手紙の中で、微分方程式についてのガロア理論的考察を示唆しています。 それをテーマにした大学1年生向けセミナーの記録です。
  6. 森田康夫:『 代数概論』 裳華房(数学選書)
    代数学の最も標準的なテキストだろうと思います。
  7. 松阪和夫:『 代数系入門』 岩波書店
    読み易いと定評の本です。 数年前にこの本の自主セミナを行っていた1年の学生達いました。
  8. 成田正雄:『初等代数学』共立数学講座 共立出版
    親切で理解し易いと思う。 この著者の 『復刊 イデアル論入門』共立出版という教科書もあります。
  9. 三宅敏恒:『入門代数学』 培風館
  10. 酒井文雄:『環と体の理論』共立出版
  11. M. F. Atiyah, I. G. MacDonald(新妻訳) :『可換代数入門』共立出版
    分かり易く大切なことがコンパクトにまとめられています。
  12. ハーツホーン:『代数幾何学1』『代数幾何学2』『代数幾何学3』シュプリンガー
    代数幾何学 (馬先生の研究分野) の標準的な教科書の日本語訳です。
  13. 加藤・黒川・栗原・斉藤:『数論1』『数論2』『数論3』岩波書店
    数論の教科書です。
  14. セール:『数論講義』岩波書店
    有名な数論の教科書です。
  15. Fulton:『Algebraic Curves』
    代数幾何学の入門書です。 次をご覧ください。 http://www.math.lsa.umich.edu/~wfulton/
[幾何系]
  1. 小林昭七:『曲線と曲面の微分幾何(改訂版)』裳華房
    数学科2年で学ぶ幾何学概論の内容に近いテーマを扱っています。 1年次後半の微積分を終れば大体読めると思う。 小林先生は有名な数学者です。
  2. 長野正:『曲面の数学』培風館
  3. 石原 繁:『テンソル』裳華房
    数学に限らず物理でもよく現れるテンソルの教科書です。
  4. 松坂和夫:『集合・位相入門』岩波書店
    集合と位相は数学科2年で習うテーマです。 微積のε-δ論法は位相(general topology)という概念にまとめられ、 数学全般の基礎になります。 2年次の数学の勉強が始まったとき、 もっとも戸惑うのが位相の勉強だろうと思います。 これが、最も標準的かつ親切な教科書ではないかと思います。 予備知識を必要としないので1年生でも学習可能と思う。
  5. 内田伏一:『集合と位相』裳華房
    これも標準的な教科書です。 東工大数学専攻では、これを教科書として使っています。
  6. 小島 定吉:『トポロジー入門』共立出版(共立講座21世紀の数学)
    トポロジーと言うのは抽象的な概念ですが、 それらは既に知られた数学的な量(例えば球面の表面積とか)の 言い換えであったりします。 既知の概念を新しい視点から見ることで数学的に新しい事実を知ることができるようになります。 そのような方法の入門書(?)です。
  7. 田村 一郎:『トポロジー』岩波書店 (岩波全書)
  8. 横田一郎:『群と位相』裳華房
    実数成分のn次行列全体は群と呼ばれるものなり、 それには位相の構造が入ります。 このような対象のトポロジーを論じた教科書です。
  9. 深谷賢治:『双曲幾何』岩波書店
    小島先生の研究分野の教科書です。
  10. W.P. サーストン (著), S. レヴィ (編集), 小島 定吉 (翻訳) :『3次元幾何学とトポロジー』 培風館
    サーストンは有名な数学者です。 この人がプリンストン大学で行った伝説的な講義の記録です。
[解析系]
  1. スピヴァック:『多変数の解析学』東京図書
    今勉強している内容より少し進んだ多変数の微積分についての 教科書です。世評が非常に高いです。
  2. 寺澤順:『はじめてのルベーグ積分』日本評論社
    1年の後期にリーマン積分と言う定積分の厳密な定義を行います。 これで高校までの積分が始めて正当化されます。 しかし、解析学の勉強が進むとリーマン積分では不十分です。 このためにルベーグ積分を用います。 ルベーグ積分は数学に限らず物理学や経済学でも用いられます。 ルベーグ積分はリーマン積分の拡張です。 このルベーグ積分を非常に基本的なところから 分かり易く論じている教科書です。
  3. 伊藤清三:『ルベーグ積分』裳華房(数学選書)
  4. スタイン・シャカルチ:『フーリエ解析入門』日本評論社 (プリンストン解析学講義I)
    フーリエ解析は物理学や工学でも普通に使われる重要な分野です。 その入門書です。
  5. スタイン・シャカルチ:『複素解析』日本評論社 (プリンストン解析学講義II)
    実数変数の実数値関数ではなく、 複素変数の複素数値関数の微分積分を扱うのが『複素解析』です。 リーマンの写像定理の証明が為され、 更に素数定理の証明も行われています。
  6. 小平邦彦:『複素解析』岩波書店(岩波基礎数学選書)
    複素解析の有名な教科書です。
  7. 溝畑茂:『数学解析』朝倉書店
  8. E.ハイラー / G.ワナー:『解析教程 上・下』蟹江幸博訳、シュプリンガー東京
  9. 笠原晧司 :『新微分方程式対話』日本評論社
  10. フェラー :『確率論とその応用』紀伊国屋書店