論文内容紹介


[18] Twisted cohomology pairings of knots III; triple cup products


[17] Cocycles of nilpotent quotients of free groups

自由群のべき零商の群コホモロジーの研究である. 2と3次のコサイクルをマッセイ積で記述し、コサイクル表示を幾つか具体的に得た。またちょっとした応用例も述べた.

[16] Milnor invariants via unipotent Magnus embeddings

絡み目の冪零的な研究法で、ミルナー不変量というのがある。もとの定義だと緯線や非可換的環的なため、計算が大変であった。そこでミルナー不変量の図的計算法を与え, 例をたくさん与えた。またミルナー不変量の高 次化を精密化も行った.

[15] On the fundamental relative 3-classes of knot group representations

結び目群の表現に対して、相対基本3類というものが簡単に定義できる。それは双曲体積など多く例を含む。本論文では、群のmalnormal性をうまく使い、カンドルと群の相対ホモロジーを結び付け、 さらに相対基本類の図的計算法を与えた。

[14] Bilinear-form invariants of Lefschetz-fibrations over the 2-sphere

フルビッツ同値の不変量を与える一般的な枠組みを提唱してみた. その系として, 球面上のレフシェッツ束の不変量を, 双線形として提唱してみた. 計算機で色々と計算可能である. また量子表現の応用できないか提案してみた.

[13] Twisted cohomology pairings of knots II; to classical invariants

前論文では, コホモロジーペアリングに図的計算法を与えたが, 本論文では当ペアリングが古典的なペアリングを幾らか復元することを述べる. 実際, それにより新しい計算例を与える事に成功した.


[12] Twisted cohomology pairings of knots I; diagrammatic computation

局所系係数のコホモロジーペアリングは, 定義が簡単だが思弁的かつ計算できないものと思える. しかしこの論文では結び目に関して, 図式的な計算法を与えた(それもかなり一般的な設定で). その系として, 絡み目の捩れアレクサンダー加群に双線形形式を与えることに成功した. 本論文の鍵は, 群の相対コホモロジーの扱いである.


[11] Finite presentations of centrally extended mapping class groups

写像類群の普遍中心拡大に対し、有限表示を具体的に与えた. 本結果は, [S.Gervais]の論文から推察できるが, ちゃんと書き下したことと簡易(群コホモロジーのみ用いる)な証明を与えたことに意義があるであろう。 なお9頁と手短に収まったのは個人的に嬉しい限り.


[10] Central extensions of groups and adjoint groups of quandles

群の中心拡大は結構扱いづらいと思うことがある. 本論文では, カンドルと群の中心拡大がかみ合うことを論ずる. 実際, カンドルの付随群を決定できる. 幾らかの例示もした.


[9] Longitudes in SL_2 representations of knot groups and Milnor-Witt K_2 groups of fields

絡み目群の放物SL_2表現に対して, 可換体FのMilnor-Witt K_2群に値を持つ不変量を構成した. その際に緯線が重要な鍵を成す. 数論的な結果を用いて、具体的な計算例もあげた. また本論文では、カンドルのテクニックを用いた系として, 放物SL_2表現の簡単な記述法を与え, さらにCusp shapeの状態和の公式を与えている. また他の応用例として, 体Fを実数体にしたとき, SL_2(R)の普遍被覆群の群表示を与えた. 特に左順序構造の入る3次元多様体の基本群で 新しい例を構成した. 序文で結果を全て書いたので, 関心ありましたらそちらを読まれたし.


[8] On third homologies of groups and of quandles via the Dijkgraaf-Witten invariant and Inoue-Kabaya map

群とその群同型の組から定まるカンドルを扱い, 以下の結果を得た. まず当カンドルに関し, 井上-蒲谷氏により定義された鎖写像がカンドルホモロジーから群ホモロジーへの写像とし, 定式化される事を見る. 例えば, 有限体上のAlexander quandle に対し, 望月3-コサイクル全ては, 当写像を通じ, 或る群コホモロジーから導出される. 加えてカンドルの普遍中心拡大に対し, 当の鎖写像が3次において(或る捩れ部分を除き)同型となる. この同型性の応用として, 「結び目のShadow cocycle 不変量が,"Z同変Dijkgraaf-Witten不変量"と等価になる」カンドルのよい必要条件を得た.


[7] Homotopical interpretation of link invariants from finite quandles,

修論[1]より、はるかに一般化した内容で、また 絡み目のカンドルコサイクル不変量に一定の目途を与えた(と思う)。即ち, 有限位数の“連結"なカンドルに対し、当不変量の位相的意味付けに成功した: 当不変量はおおよそ、絡み目の緯線の情報と、巡回分岐被覆+群コホモロジーの情報で書き下した事になる. さらにカンドルの分類空間の2次ホモトピー群を多く決定した(例:有限体上のSymplecticカンドルや直交カンドルなど). 加えて, 3次カンドルホモロジーの計算法を提起する(正確には, そのよい捩れ部分に議論を制限している). この論文はカンドル論に役立ちそうな基礎的な命題が多々あると思い、頑張って執筆したものだが、 筆者の力不足から, 読み易くならず反省点が多い.


[6] Quandle cocycles from invariant theory.

低次元トポロジーでのカンドルコサイクル不変量の計算には, コサイクル表示を具体的に得る必要がある. が今迄カンドルの一部のクラスでしか成功例はなかった。 当論文では、任意の群Gと右G加群Mとの直積G×M上に定まるカンドルのクラスに関し、G不変なMの群コサイクルからカンドルコサイクルを見付ける構成法を(井上-蒲谷氏の鎖写像を基に)見出した. 特にMがGの線形表現である場合、Mのテンソル代数のG不変多項式から、コサイクルの多項式表示を多く得られる(例えばChern-Weil理論を使う). さらにこの構成法は石井-岩切-大城-Jang氏らによる或る商複体とも相性がよいため、 handlebody-linksの不変量への 応用があるとのこと.


[5] Quandle homotopy invariants of knotted surfaces.

[1] より次元を1つ高くし、曲面結び目のカンドルホモトピー不変量を定義した。 この不変量は分類空間の3次ホモトピー群に値を持ち、またカンドルコサイクル不変量の親玉である。 或る条件下のレギュラーアレクサンダーカンドルに関し、3次ホモトピー群を決定した。 ここでの手法は, (ループ空間の議論に帰着させた)ホモトピー群の古典的な計算である。 さらにこの手法を使い、奇数位数のレギュラーアレクサンダーカンドルにおいて2次ホモトピー群をも決定した。帰結として、1次元結び目のカンドルホモトピー不変量を全て抽出する、よい局所系コホモロジーの種類を決定付けた。


[4] Some topological aspects of 4-fold symmetric quandle invariants of 3-manifolds.

前論文で定義した不変量に位相的意味づけを与える。この不変量は、"Dijkgraaf-Witten不変量"より少なくとも強い事がわかった。また応用として、結び目の望月3コサイクル不変量というものに、 位相的意味をつけることに成功した。また閉3次元多様体のChern-Simons 不変量を, extended Bloch群を通じてカンドルコサイクル不変量へと再定式化し, 計算を楽にしたと思われる(井上-蒲谷氏の先行結果の類似) 。 この仕事は、畠中英里氏との共同研究である.


[3] 4-fold symmetric quandle invariants of 3-manifolds.

結び目のカンドルホモトピー不変量を使って、3次元多様体の4重対称カンドルホモトピー不変量を構成した。構成のために4重対称カンドルというものを定義したが、それを分類した。さらに、その成す圏は, 群と中心元の組の成す圏と圏同値となることを示した。また有限な4重対称カンドルの内部自己同型群も決 定し、カンドル構造が大体判った事になる。 この帰結とし, その不変量の器となっている群を評価している.また最後に, 3次元多様体のカンドルコサイクル不変量についても議論した.


[2] On quandle homology groups of Alexander quandles of prime order.

奇素数位数の全ての連結カンドルに対して、全ての次数の整係数カンドルホモロジー群を決定した(是までの計算は高々3次迄であった)。 特に、delayed Fibonacci conjecture を解決した。さらに、コホモロジー群の生成元であるコサイクルの表示も全て与えた。 また連結アレクサンダーカンドルにおけるカンドルホモロジー群の捩れ部分群について評価している。これらの結果が、高次元結び目へ応用される事を期待している。 証明方針は、望月拓郎氏の3次以下の手法を高次に拡張したもので、高校の微積分みたく展開される。


[1] On homotopy groups of quandle spaces and the quandle homotopy invariant of links.

修論をまとめたもの。結び目のカンドルホモトピー不変量を調べた。この不変量は、カンドルの分類空間の2次ホモトピー群に値を持つ。当論文では、有限カンドル一般に対し, そのホモトピー群の評価を幾つか与えた。 また位数7以下の連結カンドルに関して、ホモトピー群をだいたい決定した。