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オンライン講義メモ ver. 20200701

Zoomで微分積分学(演習つき,受講者100名)の講義をすることになりました.オンライン講義に関する準備メモです.
1: iPad + Apple Pencil による講義ビデオの録画
 ● (A) beamerスライドに書き込む方式のサンプル mp4(約14分)低画質・軽量版
 ● (B) 黒板風のpdfテンプレートに板書する方式のサンプル: mp4(約12分)
 ● (A) (C) のスライド部分をあらかじめ手書きしておき,書き込む方式のサンプル: mp4(約15分)
 ● beamer用黒板色テーマ(Thanks! 稲生啓行氏作成): URL
 ● 黒板風pdfテンプレート(A5,再頒布可・連絡不要です):
     横罫| 横罫(分割線なし)| 横罫(表紙)| 方眼| 方眼(分割線なし)| 方眼(表紙)| 無地
2: Zoom + Google フォームによる講義プラン(詳細)
概要:[1] 事前に予習用のビデオ+講義ノートを配布.
   [2] 講義では,予習を前提に「定義を問う」,「例・反例を与える」といった課題に取り組む.
   [3] 講義の終盤に,出席を兼ねたクイズを Google Form を用いて実施する.

1. iPad + Apple Pencil (+ GoodNotes) での講義を録画,パソコンで編集

iPad の手書きノートアプリで,説明しながら黒板に板書する感じでノートを書いていきます. Kahn Academy のスタイルですね. 上記のサンプルでは
  (A) 黒板風のbeamerスライドに解説を追加していく方式
  (B) 黒板風のテンプレート(pdf)に通常の板書のように書き込んでいく方式
  (C) (A) のスライドにあたるものを手書きでつくり,それに解説を追加していく方式
の3通りを紹介しています.
■ 所感: これまでに,講義3回分ほどビデオの準備をしてみました. (A) は準備に時間がかかる, (B) は講義に近い分ビデオが冗長, (C) はその中間 という感じです.録画・編集とも慣れてきましたが, 何度も教えたことのある科目(微分積分)ですら, 1回分の講義を準備するのに丸1日かかります. ビデオはもちろん「あるに越したことはない」のですが, 何年(何回)も教える科目でないかぎり, そこまでの手間をかける余裕はない, というのが教員側の実情だと思います.
■ 長所
● 手に入りやすくポピュラーな道具だけで実施できる.録画・録音も極めて簡単.
● 比較的見やすい.
● ノートの配布が pdf でそのままできる.
● ある程度のクオリティで作っておけば,今後も使い回しができる.
■ 短所
● 人が出てこないのでなんとなく寂しい.聞き手は(講義以上に)退屈するかも.
● ビデオの編集は少し慣れが必要.
● 日ごろからiPad の手書きノートアプリを使ってない人には辛いかも.
● Zoomでライブ板書するよりは,はるかに手間がかかる.

■ Step 1:iPadの画面を録画・録音する
iPadの手書きノートアプリや pdf viewer 等で講義をし, その画面を録画します. 録画・録音方法は次のURLを参照.とても簡単です.
https://www.ipodwave.com/ipad/howto/screen_recording.html
 録画された動画は「写真」アプリから確認できます. 私の iPad Pro (10.5inch) の場合,1分あたり20Mb以上の比較的おおきなファイルとなります. 動画自体は10分〜15分刻みで撮影するほうがよいと思います.
♯ 私は使い慣れた手書きノートアプリ GoodNotes 4 を用いています. 黒板風のスライドや背景に書き込む形式です. 黒板色の場合,蛍光ペンが目立たないが難点ですが, 蛍光ペンの色を「白」にすることでポインターのかわりになり, しかも色が残りません.
♯ GoodNotes 5 ならデフォルトでポインター(レーザーポインター風)が使えます.
♯ MacのパソコンにiPad画面をコピー(ミラーリング)し, それを録画することもできます(Mac付属のQuickTime Playerを用いる). その場合は次のStep 2 は不要になると思われます. いまのところは,iPadの操作に集中するために,パソコンと連携せずに録画しています.
♯ 参考:iPad の画面をMacの画面にミラーリングする方法: https://mac.arst.jp/onsite180817/
♯ 音ズレについて: iPadで画面を録画すると,映像と音声がズレることがよくあります. 許容範囲のズレならそのままにしますが, 気になる場合はあとからiMovieで編集できます(後述). CPUの負荷が主な原因のようです. 念のため不要なアプリは終了し,機内モードにしておくとよいかもしれません.

■ Step 2:録画した画像をパソコンへ読み込み.
私は MacBook 付属のアプリケーション「写真」でやります. MacOS X El Capitan(10.11)なのでアプリの仕様は 変わっているかもしれませんが, やることはだいたい同じだと思います.
(1) MacBook に iPad をケーブルで接続.
(2) MacBook側の「写真」を起動し,録画した講義を「読み込み」. このあとはパソコンのみでの作業となります.

■ Step 3:パソコンに読み込んだビデオを編集(必要なら).
私は MacBook 付属のアプリケーション「iMovie」でやります. 操作方法はネットですぐに見つかります.たとえば: https://support.apple.com/ja-jp/HT210430#mac
https://www.fu-non.com/imovie/ など(以下はver. 10.1.6の古いバージョンでの例です).
(1) 「iMovie」を起動します.
(2) 「iMovie」画面左端の「写真ライブラリ」をクリックすると, 「写真」に読み込んだ講義ビデオが表示されます. それを選択し,左端の「マイムービー」にドラッグ.
(3) 「マイムービー」の動画クリップから 読み込みたい部分を黄色い枠で指定.
(4) 指定した部分に対し,音声の背景ノイズ削減, クロップ(画面のいらない部分をトリミング)などを行います.
♯ 音声の背景ノイズ削減: https://www.fu-non.com/imovie/i-bgm/imovie-noise-removal.html
♯ クロップ: https://support.apple.com/kb/PH22924?viewlocale=ja_JP&locale=fi_FI

(5) それを画面下半分のグレーの領域にドラッグ. こちらの領域でも,音声の調整やビデオの開始部分・終了部分のカット, クリップの分割は可能です. 以上の操作を繰り返すことで動画の編集を行います.
♯ 音ズレの修正:右クリックをして「オーディオを切り離す」を選ぶと, 映像と音声が分割されるので, いずれかをドラッグして長さと位置の調整を行います.

(6) 右上の「共有」アイコン(箱から矢印が出ているやつ)で, ファイルを選択.
(7) ここで「解像度」(画面の縦のサイズで指定,540, 720, 1080 など), 「品質」(ビットレート,1秒あたりの情報量 Mbps)などを指定する.
♯ とくに,「品質」は「カスタム」を選べば, ビットレート(Mbps)の数値を小さく指定できます. 私の場合,解像度 540 かつビットレートを最小で 1分あたり10Mb程度には縮小できます.
(8) 好きなフォルダに編集済みのビデオを書き出す.

■ Step 4:ビデオのファイルサイズをさらに縮小(必要なら).
私は ffmpeg というアプリケーションを使っています インストールや操作方法はネットですぐに見つかります.たとえば: https://phexcel.work/how-to-install-ffmpeg/
♯ フリーかつ多機能の優れたソフトで, ジュリア集合の ビデオなんかも連番画像からffmpegで作っています. ただし,ターミナルで操作するので慣れが必要です. 他にも,動画のサイズを圧縮するソフトはいろいろあると思います.
(1) ターミナルを起動し,ビデオ(例では input.mp4)のある フォルダに移動する. (cd とタイプして,そのフォルダをターミナルの画面にドラッグするとよい.)
(2) 以下のコマンドで,ファイルサイズを縮小したビデオ (例では output.mp4)を作成.もちろん画質・音質は落ちる.

ffmpeg -i input.mp4 -crf 30 -r 20 output.mp4

30 の部分は圧縮度(上のサンプル 1).0 - 63 の値をとれるが, 40ぐらいが見やすさの限界か. 20 の部分は1秒あたりのコマ数だが,あまり減らすとカタカタする.
(2') 映像と音声のビットレート(1秒あたりの情報量)を指定してファイルサイズを縮小する方法もあります.

ffmpeg -i input.mp4 -vb 80k -ab 18k output.mp4

80k の部分は映像のビットレート, 18k の部分は音声のビットレート(上のサンプル 2). 動画1分あたり約1Mb が達成できる設定です(thanks: 正井秀俊氏).

2. Zoom + Google フォームによる講義プラン

■ 講義ウェブサイト: URL
■ 講義の概要: PDF
■ 毎回のオンライン講義の進め方(5/4日現在)
(1) 講義当日の2日前までに,上記のような 「予習用ビデオ」と「予習用講義ノート」を配布しておく. 一緒に,講義当日に取り組む「講義内課題」も配布しておく. 受講者は,メモを作成するなどして「予習」をしておいてもらう.
♯ 私が担当する「微分積分学」については,共同で作成したビデオを使う予定です.
♯ 講義内課題と予習用講義ノートのサンプル: PDF
♯ しかし,ビデオを個人で毎回分作るのは(クオリティにもよりますが) 技術的なハードルと負担が大きすぎると感じています. ビデオは無理でも,丁寧な講義ノートと適切な課題を事前に与えて予習を促す, 教科書・参考書の該当箇所をこまめに指示する, 学生とのコミュニケーションを十分にとる, といった方法をとれば, 従前の対面講義より高い学習効果も期待出来るように感じました.


(2) 講義前に講義のZoomミーティングのURLとパスワードを 受講者の学内メールアドレスに送る.
♯ OCW-i (学内オンライン講義ツール)によるメールの一斉送信機能を使っています. OCW-i のサイト内には掲示版もあるが, アクセス集中を避けるために使わないようにと大学からの指示あり.
♯ 数学系の学生に参加してもらって,ウェビナーの試行をやりました(4/15). ウェビナーはミーティングと違って「他の受講者の情報が見えない」と不評でした. Zoom の契約状況にもよるかもしれませんが,我が社の場合 ミーティングは300人まで,ウェビナーは300人以上参加できるようになるそうです.

(3) 当日の講義は,(1) の予習用ビデオと講義ノートで予習をしてきたことを前提に, その要点を確認するための課題に取り組んでもらいます. ケーブルでパソコンとつないだ iPad(手書きノートアプリ)の画面を MacBook の画面にミラーリングし, Zoomの画面共有により,問題の指示や説明を加えています. 受講者には,「投票」機能で問題ごとに 「解き終わった」「わからないのであきらめた」 のいずれかを報告してもらいます. 報告数が受講者数の9割を超えた段階で解説に移ります. ビデオを見てもらっている分,講義時間は短め(60〜80分)とします. 残りは質問・小テスト・ブレイクアウトセッションの時間に当てます.
♯ Zoom で iPad の画面をパソコンの画面にミラーリングする方法 (私は有線接続してます):
https://zoom-support.nissho-ele.co.jp/hc/ja/articles/360007905391-画面共有-iOSミラーリング-
♯ QuickTimePlayer + USB ケーブルでiPad の画面をMacの画面にミラーリングする方法:
https://mac.arst.jp/onsite180817/
♯ Zoomでの画面共有の際,iPadの画面の下の方1行ぐらいが見えない,という指摘を受けました (5/4) .
♯ 回線の遅さでガタつくことがあるが,(スマホでも)ちゃんと読めるとのこと.
♯ パソコンでビデオを再生しそれをZoom画面で共有する,というのもやってみました. 画像は綺麗にでるようですが,設定が悪かったのかパソコンの音声が拾えず, マイクの音声だけになってしまいました.
♯ Zoom講義の試行中に自宅のWifi回線が切れてしまい, それに気がつかず(話者である)私が延々話し続ける, という恥ずかしいハプニングがありました.
♯ Zoom で iPad への板書をリアルタイムで流す場合 (通常の対面講義のノリ.教員側の負担は少ない),上記のような, ネット接続不良(教員も受講者も)というありふれた ハプニングにたいして十分な準備が必要. Zoom の録画機能(クラウドに保存されるらしい) を利用するのも手かもしれません.
♯ 5/4 の講義初回では約100分間のクラウド録画をしました. 若干の音声のハウリングや,原因不明の接続不良でZoomが落ち, 録画が一度止まる,ということがありましたが, 画像も音声も概ねちゃんと撮れていました. ただし,音声と共有画面のみが録画されるため, 投票結果の共有などは記録されていませんでした.


(4) 講義終盤に,Google フォームを用いたクイズ(小テスト+質問フォーム)を行います. クイズの問題は講義中に画面に表示して,簡単にヒントを与えておきます. Google フォームへのリンクは講義中にチャット, あるいはテキストファイルを送信することで参加者のみに通知します.
♯ Google フォームのサンプル: URL
♯ 問題の画像は pdf のスクリーンショットをとり,はめ込んだだけです. Google フォーム自体の作成はとても簡単でした(Gmailのアカウントが必要). 結果はcvs形式のファイルで見ることができるので集計も簡単です. これで出席+講義への参加度を定量的に測れないかな,と思っています.
♯ クイズには感想・質問を書く項目(必須)があるので, 結果にコメントをつけて受講者全員とメールで共有してみました(5/4). 100名分なのでコメントにはかなり時間がかかりますが, 受講者の顔が見えない現状では重要なコミュニケーション手段です.
♯ その他,考えられる課題提出方法:
pdf で課題をだし,手書き解答をさらに各自 pdf 化してもらう. そのpdfファイルを・・・
(a) メールで直接教員に提出 → 集計が面倒.30人程度ならどうにか.
(b) OCW-i(学内オンライン講義ツール)で提出→ 集計やファイルの管理は簡単(動作がやや不安定?)
(c) GitHub,Slack等で提出(共有)→ 個人情報(学生番号など)などプライバシーの配慮が必要か.
# 手書きのノートのpdf化(スマホ等のスキャナーアプリ紹介): https://app-liv.jp/hobbies/images/1165/

■ 講義を終えて
・Zoomの接続状況,ビデオのクラウド録画は比較的よかった. 接続不良がなかったわけではないが,数秒〜数分で回復する.
・音声のクオリティは配信側のネットの接続状況に依存して変化する様子. 大学から講義を配信した日もあったが,自宅よりは大学のほうが若干よかったように思う.
・途中からビデオを見てこない人が大半を占めた. 原因として,すでにあるビデオが共通シラバスに準拠しきれておらず, ビデオと講義内容が乖離していたことがあげられる.
・学生の予習はほぼ,事前配布する講義ノートがメインだった様子. それでも,ノートを熟読するような学生は1/3ぐらいで, 課題にざっと目を通す人が半分ぐらい.残り1/6はぶっつけ本番で講義に挑む. (予習状況は毎回,投票機能で報告してもらっていた.)
・予習を全員に徹底できないと,講義では丁寧に説明せざるをえない. その分時間がかかり,課題を解いてもらう時間も長引く. 結果として,100分の講義をフルに使うことが多く, 当初の予定どおり「講義は早めに終わって, 残りは質問やブレイクアウトにつかう」 という余裕はなかった.
・休憩時間が欲しい,という要望はなかった. 課題1問あたり3〜7分ぐらいは問題を解く時間を与えていたので, 休みたい人は勝手に休んでくれていたのでしょう.
・Google Form によるクイズも全く問題なく運用できた. 100人分のコメントに回答するのが大変だったが, 双方向性は十分に確保できたのではないか.
・ただし,クイズだけでは成績に差がつかなかったため, 最終的にGoogle Formを用いて期末試験に相当する 理解度確認テストを行った. (自動採点機能は非常に便利. 全角・半角の違い,部分点などの処理も手動で簡単にできる.)

改訂履歴
20200701 成績入力まで完了.「講義を終えて」のコメントを追加.
20200504 初回の講義が終了.そのときの情報をもとに整理.
20200427 ZoomにおけるiPad/iPhone画面ミラーリングの方法を追加・更新.
20200426 学生とのオンラインセミナーメモへのリンクを追加.
20200420 サンプルビデオを更新.所感を追加.講義案を更新.
20200416 4/15にZoom講義の試行をしました.そのときの情報を追加してます.
20200415 サンプルビデオを追加.GoodNotes用黒板テンプレートを公開.
20200413 講義方法の案を追加.
20200409 ページを作成・公開.

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