講義名 数学特殊講義L(Special courses on advanced topics in Mathematics L)  科目コード:ZUA.E346
開講学期 4Q 単位数 2--0--0
担当 石毛 和弘
 東京大学大学院数理科学研究科 教授


【講義題目】
楕円型・放物型方程式の解の凹性

【講義の概要とねらい】
 本講義の主要なテーマは、放物型方程式や楕円型方程式の解のもつ冪凹性である。まず、凹性概念の一般化である冪凹性を導入した後、放物型方程式や楕円型方程式の解の冪凹性について Concavity maximum principle に基づいた古典的な解析手法について説明する。その発展として、近年研究されている quasi-concavity の崩れ、粘性解理論に基づいた放物型方程式における log-concavity の保存性や放物型冪凹性、さらに関連する話題について理解することを目的とする。
 凹性は関数の形状を表現するに便利なものであるが、偏微分方程式には不十分であり、冪凹性の導入が必要不可欠である。楕円型方程式や放物型方程式の解の冪凹性は 1980 年代における Concavity maximum principle の導入によって大いに研究された。近年、粘性解理論に基づいた解の冪凹性の研究が行われ、新しい解の冪凹性理論が展開されている。本講義では、それら最新の理論と関連する話題について解説することを目的とする。

【到達目標】
・冪凹性の定義と諸性質について理解する。
・Concavity maximum principle について理解する。
・近年における楕円型方程式および放物型方程式の解の冪凹性研究の概略を理解する。

【キーワード】
冪凹性、Concavity maximum principle, log-concavity, 放物型冪凹性, Minkowski 和

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
通常の講義形式で行う。適宜レポート課題を出す.

【授業計画・課題】

第1回 以下の内容を順に解説する予定である.

・ 冪凹性の導入とその性質
・Concavity maximum principle とその応用
・Quasi-concavity の非保存性
・放物型方程式における log-concavity の保存性
・放物型冪凹性
・放物型方程式と Minkowski 和
・多様体上の冪凹解析


課題は講義中に指示する

【授業時間外学修(予習・復習等】
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと.

【教科書】
使用しない

【参考書、講義資料等】
特になし

【成績評価の基準及び方法】
レポート課題 (100%) による。

【関連する科目】
MTH.C341 : 微分方程式概論第一
MTH.C342 : 微分方程式概論第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
なし