講義名 数学特殊講義E(Special courses on advanced topics in Mathematics E  科目コード:ZUA.E335
開講学期 2Q 単位数 2--0--0
担当 米田 剛 東京大学大学院数理科学研究科准教授


【講義の概要とねらい】
本講義の主要なテーマはNavier-Stokes方程式とオイラー方程式である。ソボレフ空間について基本的な事項を解説した後、Navier- Stokes方程式に関する基本的な概念を学ぶ。次にオイラー方程式の基本的な事項について解説し、最後にNavier-Stokes方程式やオイラー方 程式の最新の研究結果について学ぶ。
Navier-Stokes方程式とオイラー方程式は流体運動を記述する最も重要な基礎方程式であり、流体力 学において適応範囲の広い方程式である。一方これらは連立の偏微分方程式であるため、初学者にとって理解しにくいものである。本講義では、Navier- Stokes方程式やオイラー方程式の解の基本的かつ重要な性質を導くために、直感に頼ることの少ない純粋な論証を行い、数学における流体研究の進め方の 典型例も学ぶ。

【到達目標】
・ソボレフ空間を自由に使えるようになること
・Navier-Stokes方程式の時間局所解の存在定理が導けるようになること
・オイラー方程式の時間局所解の存在定理が導けるようになること
・Navier-Stokes方程式の局所非適切性の定理を理解すること
・オイラー方程式の局所非適切性の定理を理解すること

【キーワード】
超関数、フーリエ変換、ソボレフ空間、Navier-Stokes方程式、オイラー方程式、commutator評価

【学生が身につける力】
専門力

【授業の進め方】
各回の授業内容をよく読み、課題を予習・復習で行って下さい。

【授業計画・課題】

第1回 フーリエ変換の導出および急減少関数の定義
第2回 フーリエ変換の性質
第3回 超関数の微分、フーリエ変換および合成積
第4回 超関数列の収束、超関数のフーリエ変換の例
第5回 Lp空間、ヘルダーの不等式、ミンコフスキーの不等式
第6回 超関数とLp関数を同一視することの正当化について
第7回 ソボレフ空間の定義およびその性質
第8回 Navier-Stokes方程式の導出
第9回 解の存在を示す際に必要な評価式
第10回 Navier-Stokes方程式の解の存在証明
第11回 commutator評価
第12回 Euler方程式のアプリオリ評価
第13回 Euler方程式の解の存在証明
第14回 Navier-Stokes方程式の局所非適切性について
第15回 オイラー方程式の局所非適切性について


課題は講義中に指示する

【教科書】
特になし

【参考書、講義資料等】
「フーリエ解析と関数解析学」新井仁之著 培風館

【成績評価の基準及び方法】
期末試験の点数、および宿題の提出状況により評価する。詳細は講義中に指示する。

【関連する科目】
MTH.C341 : 微分方程式概論第一
MTH.C342 : 微分方程式概論第二

【履修の条件(知識・技能・履修科目等)】
「微分方程式概論第一」、「微分方程式概論第二」が履修済みであることが望ましい。